こんにちは。中学受験の家庭教師 鳥山と申します。
中学受験において、国語力を身につけるには、【(1)読書・会話に代表される日常習慣に気を使う】、【(2)国語という教科としての文章の読み方、解き方を学ぶ】どちらも大切であると、私は考えます。
今回は、前者(1)に関連する「国語の成績が上がりづらい子とは、どんな子か?」というテーマで記事を書きたいと思います。
各課題に対する、具体的な「対策」も書いておりますので、国語でお悩みの方はぜひ読んでみてください。
中学受験 国語の成績が伸び悩む子 チェックリスト
では、まずは私が指導していて、経験上、「この子は、国語が伸び悩みそうだな」という子が持つ要素を挙げてみましょう。
読者様のお子さまには、いくつ当てはまりますでしょうか?
1.四谷大塚・日能研系テストで、国語の平均偏差値が45未満。(サピックスなら、平均偏差値40未満)
2.定期的に、活字の本を読む習慣が無い。我が子が読書しているのを最後に見たのは、3週間以上前。
3.ロボットのように感情の起伏が少ない。あるいは、逆に癇癪持ちである。
4.質問したとき、単語や指示語で返してくる。話している途中、しょっちゅう言葉に詰まる。
5.【※ 親御様向けチェック】 お子さんと会話をしているとき(1対1、あるいは誰かを交えたとき)に、お子さんの言いたいことをご自身が代弁しがち。本人が何か言いたそうにしていても、待っていられない。
これらの項目に当てはまる場合、「受験国語」以前の問題として、「日本語力」や「感受性」に課題を抱えているといえます。
「日本語力」や「感受性」は成長するにつれて、誰しもが身につける/発達していくものです。本来であれば、10~12歳の段階で成熟が進んでいなくても、どうこう言うことではありません。
しかし、中学受験の学習内容を理解するには、「早熟」であることが求められます。
「日本語力」「感受性」が育っていないと、塾やテキストで、読解の型や問題の解法を学んでも、定着しづらくなってしまうのです。
そこで、「読書・会話に代表される『日常習慣』に気を使う」ことが根本的な解決策となります。
上記1~5の項目について、チェックリストの各項目を解説しながら、具体的な対策法についてお話しましょう。
(1) 国語の成績が上がらない理由とは?
まず、1の「偏差値」です。指導者の自分がこんなことを言うのもなんですが、率直に述べます。
国語は、日本語をそれなりに読む力があれば、特に何か教わらなくても、まあまあの成績が出る科目です。
(※ しかし、それだけだと頭打ちにはなるので、それ以降を目指したいなら、「国語という教科」としての文章の論理的な読み方、問題種別の解き方の理解が必要になります)
ただ、四谷偏差値が45未満であれば、「日本語をそれなりに読む」という段階で、多かれ少なかれ、つまずいているパターンが多いです。
知らない言葉や表現がたくさんあるのに、疑問を持たず、絵を眺めるように字面だけ追って、「文章は読めた」と本人が思いこんでいることも。
たいていは、2~5のチェック項目のいずれかにも当てはまるのではないでしょうか?
(2) 易しい本すら読んでいない場合、状況は深刻
2の「読書」について。生徒を一度でも指導すれば、物事の考え方や会話の仕方から、本を読んでいるか否かはすぐにわかります。
読んでいる子は言葉や表現をたくさん知っているし、意味がわからなくても文脈から正確に類推できるし、読むスピードも速いです。読んでいない子とは、残酷なほどの差があります。
ですので、とにかく本を読んでいないのであれば、ぜひ読みましょう。
小学生の間で流行っている『銭天堂』のような平易な本でも、定期的に読んでいるのであれば、四谷偏差値50・サピ偏差値45になる見込みはあります。
家庭で読書習慣をつけるには、以下の記事が参考になると思います。ぜひ、ご覧ください。
(3) 国語が不得意になりやすい性格
3の「性格」について。実は、国語が得意か不得意かは性格的なものも大きいです。
まず、「ロボットのように感情の起伏がない」子についてです。
このタイプは感受性に乏しいため、以下の記事にも書いたように、文章を感覚的に解釈できない状態になります。
たとえば、論説文を読んで「ここの筆者の言い方、なんか偉そうだなー。だから、ここは筆者の主張だ」「繰り返し、◯◯◯って言ってるから、これは作者の言いたいことなんだろうな」といったことが感じ取れません。
ましてや、物語文において、他者の言動から心情を慮るなんてもってのほかです。
読書を通して、まずは自分の感情を揺さぶる経験をする必要があります。
逆に、「気に入らないことがあると癇癪を起こすようなタイプ」も同様です。普段から他人の言いたいことを受け止める姿勢がないので、感覚的な読み取りが難しくなります。
ただ、こういう性格になるのは、実は言葉を知らないことに起因しているパターンもあります。
自分の考えや気持ちを適切に表現できない/相手の言っていることがわからない → だから、癇癪を起こす、ということです。
その場合は、文章読解を通して心情表現を知ってもらったり、ご家庭での親御様の話し方を変えていただいたりすることで、徐々にお子さんの性質が変わっていき、ひいては国語力の改善につながっていきます。
(4) & (5) 語彙は、大人の会話から学ぶしかない
「話すこと」が得意な子は、やはり国語が得意といえます。
ちなみに、ここでいう、「話すのが得意な子」とは、適切な言葉・表現を使える子、筋道立てて話せる子を指します。(※ 「おしゃべりな子」という意味ではございません)
その子の親御様は、子どもと同様に、言葉の選び方が適切で、論理的な話し方をされることが多いです。
読者のみなさんは、様々な日本語を知っていますね。
外国語と違って、意識して母語の語彙や文法を学習しているわけでもないのに、難解な言葉や表現も理解できるのは、他者との会話から学んできたからではないでしょうか。
しかし、小学生の場合、子ども同士で話しても、高度な内容の会話なんてしません。一般的な小学生なんて、ほっといたらYouTubeやフォートナイトの話しかしないですよね。
だから、難解な語彙、言い回しを学ぶのは大人からということになります。
そして、最も会話する時間が長い大人は、親御様(ご家族)なのです。
ということで、ご家庭での会話を変えることが、お子様の日本語力上昇にもつながります。取り組みやすい対策としては、主に、以下の4つがあります。
(1) 子どもに対してでも、難しい言葉を遠慮せず使う。直後に、「今の言葉の意味わかった?」と聞いてみる。
(2) 子どもが何か言いたそうにしていたら、ひたすら待つ。
(3) 単語や指示語で何かを話す子には、主語・述語・目的語のしっかりした文章で話すよう促す。
(例:子ども「あそこに行く」→親「あそこってどこ? 誰が行くの?」)
(4) 子どもが 「やばい」「すごい」「うざい」といった、意味合いが大ざっぱな言葉を多用する場合は、都度、言い換えの表現を教えてあげる。
(例:親「『次のテストやばそう』って言ったけど、『不安だ』ってことだよね?」)
1年間 365日、親子はいつも顔を付き合わせて会話をするわけですから、その際に意識して接するだけでも、かなりの時間数、言葉のトレーニングをすることになります。
何もしなかったのとでは莫大な差が生まれるので、ぜひ取り組んでみていただきたいです。
まとめ:国語の前に、「日本語」を鍛えることが大事
日本語としての土台を鍛えることで、国語という科目としての読み方や解き方も身につけやすくなっていきます。
お子さんが、冒頭のチェック項目1〜5のうち、いずれかでも当てはまり、国語の成績が上がらないとお悩みの方は、その点を念頭に置いていただく必要がありますね。
そして、お気づきの方も多いはずですが、読書や日常会話における取り組みは、芽を出すまでに時間がかかります。
お子さんがすでに小6で、チェックリストに複数当てはまる場合、国語の勉強に無闇に時間をかけず、最低限の学習に切り替える。
代わりに他科目の学習に時間をかけて、入試における国語の穴をカバーしていく、という戦略も現実的な手であるとも考えます。
この記事を読んで、危機感を持たれた方は、以下の関連記事が参考になるかもしれません。
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