こんにちは。中学受験の家庭教師 鳥山と申します。
四谷大塚『四科のまとめ』は、情報量が非常に多く、完成度の高い教材として多くの塾で採用されています。
しかし、こんな声もよく聞きます。
親御様「『四科のまとめ』をやらせても、全然進まないんです」
子ども「×ばかりついて、やる気が出ない」
そこで、今回の記事では、『四科のまとめ』の【国語・社会】に関して、
- 『四科のまとめ』が進めづらい理由
- 子どもの状況 & 志望校レベル別のおすすめの取り組み方
- 他教材との併用方法
上記を、プロ家庭教師の視点から解説していきます。
『四科のまとめ』国語で、取り組むべき問題は?
四科のまとめ「国語」は、【文章読解編】と、【言語要素編】で構成されています。
まずは、各編について「取り組むべきか/そうでないか」を解説します。
その後に、「『四科のまとめ』が進めづらい理由」をご説明しましょう。
文章読解編 → やらなくていい
【文章読解編】には、長文を読み解くためのコツや、考え方が掲載されています。
大人から見ると、わかりやすくまとめられていますが、多くの小学生にとっては、有効活用するのは難しいと考えます。
このブログではくり返し主張してきたことなのですが、小学生の言語体験の少なさや、思考特性を踏まえると、「演繹法」で「読み方のコツ」を身につけるのは困難だからです。
※ 以下の関連記事に、詳しく書きました。
そのため、【文章読解編】は、「やらなければいけない」ページではないとご理解ください。
塾から宿題として出されることも、まず無いと思います。
言語要素編 → やるべき
【言語要素編】は、主語・述語・品詞といった「文法」や、漢字・慣用句・ことわざ・四字熟語といった「知識」を扱うコーナーです。
文法や知識の網羅性が高く、多くの受験生として「取り組むべき」内容です。
「文法」問題は、入試に出題されることは少ないのですが、「文章読解」に生かせるので、取り組んだ方がいいでしょう。
「知識」は、直接的に入試での得点につながる単元です。
私立中学によっては、漢字と知識問題だけで、30~40点分の配点がある場合もあります。
多くの学校において、国語の合格水準点は、およそ60~70点なので、漢字・知識をマスターするだけで、半分~それ以上をカバーすることができるわけです。
【言語要素編】の使い方
ここでは、【言語要素編】の具体的な取り組み方について解説します。
『四科のまとめ』国語が進めづらい理由
ここまで書いたように、『四科のまとめ』は完成度の高い教材ではあるのですが、子どもによっては「取り組みづらさ」を感じています。
よく聞くのが、「×ばかりついてしまって、進めづらい」という悩みです。
ここで、理解していただきたいのは、『四科のまとめ』は「チェック教材」である、という大前提です。
すなわち、一定量の知識がある子どもが、抜けがないかを確認するための教材です。
『四科のまとめ』を使って、知識を新しく身に着けることは、想定して作られてはいない教材だと、私は考えます。
ですので、大方の知識を忘れてしまっている子どもが使うと、「やりづらい」と感じるわけです。

上記の画像を見ればお分かりの通り、国語であれば例文が無いことも多いです。
そのため、意味の推測がしづらく取り組みづらいのです。また、 言葉を「使える」状態で身に着けづらいという難点もあります。
『漢字の要 ステップ1』との併用をおすすめ
国語の『四科のまとめ』をやっていて、どの単元でも、空欄や誤答が7割以上を占めてしまう。
この場合、市販の『漢字の要 ステップ1 マスターブック』との併用をおすすめしています。

上記が、『漢字の要 ステップ1 マスターブック』の内容です。例文があるので、言葉の意味が頭に入ってきやすいです。
また、答えがすぐ下に書いてあるので、以下のような暗記作業もできます。
(1) 最初に例文と答えと意味を照らし合わせながらインプット。
(2) 赤シートで答えを隠して、ノートに問題を解く。
欠点は、誘惑に負けてアウトプットの際に答えをチラ見してしまうかもしれない(笑)、という点にあります。
しかし、「そんな意味のないことをしてどうするんだ」と子どもに意識づけすれば、それまでの話ですので。
どうしてもの場合は、親御様がコピーして答えを修正テープで隠し、問題形式にしてあげるというのもアリだと思います。
また、「具体的に、どの問題に取り組んでいくか?」については、『四科のまとめ』と『漢字の要 ステップ1』の「目次」を見比べていただいた上で、以下の取り組み方をおすすめします。
(1) どちらの教材にも掲載のある単元は『漢字の要』で取り組む。
(2) 『漢字の要』に掲載のない単元のみ、『四科のまとめ』で取り組む
志望校レベル別の使い方(国語)
『四科のまとめ』を開始すべき時期は、お子様の家庭学習の状況や、志望校によって人それぞれです。
状況に応じた取り組み方を、各ご家庭ごとに考えていただくことが、最も大切であると考えます。
しかし、それで終わるのもブログ記事としては不親切ですので、ここでは、「志望校の偏差値別 進め方の一例」を紹介いたします。
【偏差値58以上が志望校の場合】
・ 取り組むべき問題:A問題 & B問題
・ 取り組むべき単元:
一学期~夏休み→ 全ての単元を一周する。
二学期以降→ 受験校に頻出の単元だけ繰り返す。
【偏差値50~57が志望校の場合】
・ 取り組むべき問題:A問題のみ
・ 取り組むべき単元:
一学期~夏休み→ できれば、全ての単元を一周する。
二学期以降→ 受験校に頻出の単元だけ繰り返す。
【偏差値50未満が志望校の場合】
『四科のまとめ』自体は、やりこまなくていい。
塾で、『四科のまとめ』の小テストが実施されるのであれば、それをコピーし、くり返し取り組んで、完璧にする。
どの偏差値帯においても、「秋以降にもう一度触れる」ことが前提になっているので、「一学期~夏休み」に、完璧を目指す必要はありません。
『四科のまとめ』社会は、問題量が多すぎる?
『四科のまとめ』の社会も、知識の網羅性は非常に高いです。個人で手に入る教材としては、最高レベルだと思います。
しかし、裏を返せば、「量が多すぎ」ともいえます。
時間が限られている中で、塾の宿題をこなしつつ、さらに+αで『四科のまとめ』も全てやり通すのは、現実的ではありません。
『四科のまとめ』社会のベストな使い方は、「自分の不得意単元」「受験校に頻出の単元」を集中的にこなしていくことです。
たとえば、「地理は全部やる」とか「歴史の近世以降と、公民は政治単元のみやる」といった形です。
また、『四科のまとめ』の基本編は、左ページが「図版や資料を使った穴埋め問題」、右ページが「一問一答式問題」となっています。


(出典:四谷大塚『四科のまとめ 社会』)
状況に応じて、「地理~公民まで、左ページだけ全部やる」「右ページだけ全部やる」といった使い方もありでしょう。
志望校レベル別の使い方(社会)
また、国語同様に、社会の『四科のまとめ』も、「チェック教材」であるという大前提を理解しておきましょう。
「知識を新たにインプットする」ことには向いていません。
そのため、『四科のまとめ』で、「7割以上の問題が空欄&誤答になり、なかなか先に進まない」という場合、まずは市販の『メモリーチェック』に取り組むことをおすすめします。
単元ごとに、左側には「要点まとめ」ページがあり、右側には「ポイント・チェック問題」があるので、知識のインプットには最適です。


(出典:日能研教務部『メモリーチェック』みくに出版)
ただし、情報量は『四科のまとめ』より圧倒的に少ないです。
そのことを踏まえたうえで、志望校別に以下の使い方をおすすめします。
【偏差値50以上が志望校の場合】
『メモリーチェック』である程度覚えたら、必ず、『四科のまとめ』にも取り組む。
【偏差値50未満が志望校の場合】
『メモリーチェック』だけで十分。あとは、塾の授業を集中して受けるようにしましょう。
ぜひ、この記事を参考に、『四科のまとめ』を有効活用していただければと思います。
また、本ページ下部の【関連記事】では「漢字」「知識」の覚え方や、「四谷大塚系テスト」の難しさについて解説しています。興味を持たれた方は、あわせてご覧ください。
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