「高校受験で逆転」は本当に可能か?中学受験リベンジの現実と幻想

塾業界・中学受験界を本音で斬る!

こんにちは。中学受験の家庭教師 鳥山と申します。

数年前、テレビで放映された「有名アスリートの息子さんの中学受験密着番組」を覚えている方もいらっしゃるかもしれません。

彼は中学受験で合格をつかんだものの、あえて公立中学に進学。高校受験での再チャレンジを選びました。

しかし、その後の展開や、高校受験での合否結果を見ると、「中学受験リベンジ」は、かなり苦しい戦いになったことが伺えました。

さて、なぜ中学受験のブログで、この話題を取り上げたかというと、それは、この生徒さんが「中学受験リベンジ組」の一側面を表しているからです。

中学受験リベンジの実態

「中学受験では希望の学校に入れなかったけど、高校受験でリベンジだ」
「中受より高受のほうが簡単らしいし、有利でしょ」

毎年2月の入試が終わると、こういった話をネットで見かけますが、「ちょっと待ってください」と忠告させていただきたいです。

大学受験で浪人したとして、必ずしも成績は上がらないという話は、よく知られているところですが、それは高校受験リベンジも同じです。

家庭教師である私も、かつては大手集団塾に勤めていました。その塾には、高校受験部門もあったので、様々な例を見ています。

実体験から話をしますと、中学受験リベンジ組で、早慶付属以上の偏差値の学校に合格する子は、中受では、四谷偏差値 50台半ば以上あった or そのレベルの学校に受かっていた子でした。(もちろん、私の観測範囲内という条件がつきますが)

仮に、中学受験の最終偏差値が、4科目 30~40台だとして、高受で開成高校はもちろん、早慶附属校に受かるかというと・・・。

率直に言いますね。高校でも超難関校に入るには、中2の開始段階くらいで相当な質と量の勉強が必要なので、勉強体力がついていないから、量をやりきれない

あるいは、本人の持つ思考力・読解力次第では、努力を重ねても本質が身についていかず、中3の入試までには間に合わない、という印象です。

当ブログの他記事でも書いていますが、思考力・読解力は鍛えることはできます。「伸びない」と言いたいのではなくて、あくまで「本人なりに伸びたとしても、高校受験というリミットにおいては、超難関校レベルには間に合わないのだ」ということです)

この偏差値帯の子は、そもそも、受験勉強を苦行に感じている子が多いです。

大人の目から見て、中学受験時の努力量が足りないとしても、本人なりにイヤなことも我慢してがんばってきたのです。

私から見ると、そもそも、週に4日以上も、休まず塾に通い続けるだけでもスゴイと思います。

受験勉強を苦行に感じている子は、中学に入った段階で既に疲れきってしまっている。

気持ちもフレッシュな未受験組たちが勉強をがんばる中で、思うように努力できず、相対的な立ち位置が落ちていく子たちも見ています。

ここまで読んでお気づきの方も多いと思いますが、仮に中学受験で偏差値が取れていたとしても、勉強があまり好きではないなら、上記と同じスパイラルにはまります。

子どもの意志がそこにあるのか?

私がお伝えしたいのは、「中学受験リベンジを決断する前に、やっていただきたいことがある」ということです。

やっていただきたいことは、以下の2つです。

子どもの性格や、中学受験時の勉強姿勢・成績を踏まえて、「高校受験をしたら、どうなりそうか?」を考える。

子どもが受験結果に対して、「本当はどう感じているのか/考えているのか?」を丁寧に聞いてあげる。

親御様は「中学受験で合格した学校は、偏差値が低いから」という理由で高校受験させているものの、生徒本人として「自分は受かった学校に、進学したかったのに」と話す子は、結構いました。

その場合、子どもは「中受で合格した学校より、上に受からなければいけないんだ」と無言の圧力を感じるので、すごくしんどい気持ちになります。

中受では低い偏差値の学校でも、高受になると一気に偏差値が跳ね上がることも多いので余計です。

こうなってしまうと、親御様は子どもに嫌われかねませんね。

それでも、本当に高校受験をする方向でいくのであれば、そのメリット、デメリットを徹底的に調べて、どちらが自分のお子さんに向いているのか考えて、親御様の意見をお子様に伝え、話し合うべきだと思います。

ただ、こういったことは、小6の2月に受験結果が出た段階で、悠長にやっていられませんから、もっと早い段階でやっておかなければいけないことといえるでしょう。

中学受験が終わったときにできること

某有名アスリートのご子息様の話題に戻します。

かのご家庭は、小6秋の段階で、家庭教師センターに申し込みをしました。

指導開始前のヒアリング段階で、ご家庭が納得するような結果が出ないことは、家庭教師の先生方としても、わかっていたと思います(多分)。

理想論ではありますが、ご子息様のことを思えば、「納得する結果が出ないであろう理由」を丁寧に伝えて、「それでも受けますか?」と伺うべきでした。

また、「納得がいかない結果だった場合、高校受験しますか?」と話を振り、

お子さんと、どのくらい先のことを話し合っているか?

 親御様は、どのくらい高校受験について知っているのか?

上記を確認した上で、必要なことは説明すべきでした。

中学受験が終了した後も大事です。絶対に、受験を通して本人なりの成長があったはずです。

ご家庭として、それは認めると同時に、大目標を達成するには親御様・本人共に何をすべきだったのかという振り返りも必要でした。

その上で、高校受験する可能性も含めて、この先どうするのかを話し合う。

そこが深められていたら、仮に高校受験していたとしても、親御様や本人がもう少し納得できる結果が出ていたのではないでしょうか。

高校受験の仕方を見ていると、行き当たりばったりになってしまっています。

単刀直入に言えば、「考えて」行動しているようには見えないのです。

本人は、素質自体は悪い子ではないようにも見えるので、非常にもったいないな、と感じています。

「終わったことの反省なんていらない」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、また新たに大きなこと(高校受験)に挑もうとするのに、自分たちがやったことから学ぼうとしないの? とは思ってしまいます。

手厳しくてすみませんが、苦しむ子どもたちを実際に見てきているので、こういう言い方になってしまうのです。

ただ、本当に難しいところなんですよね。仮に自分みたいな家庭教師が、先に書いたような突っ込んだ関わりをしたところで、パパさんが怒ってしまってクビになるのかもしれません(笑)。

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