中学受験の家庭教師の立場から、「入試期間( 2/1以降)」に気を付けると良いことを、2つの記事に分けて書きます。
第一弾の今回は、「入試当日の持ち物や移動」について。「ヒヤリハット事例」をあげながら述べたいと思います。
ちなみに、ヒヤリハットとは、「ヒヤッとしたこと」や「ハッとしたこと」を指します。実際に自分が経験・見聞きしたリアルな事例を紹介しつつ、気を付けていただくと良いことについて、紹介しましょう。
【2024/01/18追記】「時計」の項目を微修正しました。このブログを読むようなリテラシーの高い読者様ですと、「入試要項」を確認した上で、持ち物を揃えることは当然していらっしゃると思います。ですので、その内容を削除し、盲点になりそうなことを新たに追記いたしました。
(※ 前々回の記事:『中学受験生の入試直前期、学校は休む? 親にできるメンタルサポート』)
(※ 前回の記事:『中学受験 入試直前期の過ごし方 -過去問を使って攻めの学習姿勢を』)
ヒヤリハットその1:「時計(残り時間の見方)」
「時計」に関するトラブル
入試当日、「時計」に関するトラブルは、自分の生徒も何名か見舞われています。
ある生徒の入試会場では、長机(大学によくある数人で使うタイプの机)が使われていました。
生徒は机上に腕時計を置いていたのですが、隣の子が激しく机を揺らしながら消しゴムをかけるため、そのたびに、机に置いていた腕時計が横に倒れてしまったそうです。(ゴムバンドのように輪っかになっていて、自立しないタイプだった)
そのため、時計を腕につけたのですが、今度はセーターが袖口まで落ちてくるため、時間を確認する度に、セーターをまくり上げる動作をすることになり、試験に集中できなくなってしまいました。
また、別の生徒は、入試に時計を持って行くのを忘れてしまいました。「まあ、会場の時計を見ればいいか」と思っていたところ、なぜか教室の正面ではなく、右手奥に、掛け時計が設置されていた。
つまり、教室内の時計を見るためには、真横を見なければならないため、その子は、試験官にカンニングを疑われることをおそれて、一切、時計を見ずに受験をしたそうです。
当ブログを読むような意識の高い保護者様であれば、「入試の際、持ち物に気を使うのは、親の役目である」と認識されていることでしょう。
一方、中にはその意識がない親御様もいらっしゃいます。なぜなら、たとえば前者の事例は、昭和時代なら「そのくらい集中できないやつが悪い。言いわけするな」で終わっていたから。
しかし、今はそういう時代ではありません。他のご家庭が様々な状況を考慮したうえで、時計を用意しているのに、その子だけ用意してもらえないというのは明らかなハンデであると、ご認識いただくことが大事ですね。
腕時計のおすすめは、下記リンク先の「チープカシオ」です。超有名なので、ご存じの方も多いと思います。文字盤が視認しやすく、机にバンドをペタンと広げて置くことできる(倒れない)ので使い勝手は良いです。
「バンドが長くて、腕につけづらい」「バンドがチクチクする」という意見も見られますが、時計屋さんでバンドは別のものに変更できますので、気に入ったものを合わせてみてください。
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試験終了直前、自分の答えの間違いに気づいたら?【2025/01/18追記】
「時計」に関連して、本番で気をつけたいのは、「試験終了、20秒くらい前には答案用紙を書き換えない」という点が挙げられます。
その理由は、試験官と自分の時計が微妙にズレている可能性があるからです。
自分の時計では残り時間に余裕があったので、答案を書きなおそうと消している最中に、試験官から「やめ」の合図があったら、その分の得点がゼロになってしまいます。
特に記述問題のように、書き直すのに時間がかかり、配点が大きい設問をまるごと落とすとマズイので、注意したいところです。
また、そもそも子どもによっては、「やめ」の合図の後に、ちょっと問題を解いていても許されると、誤った認識をしている場合もあります。
私が某集団塾に所属したばかりの頃、試験監督をしていました。そのとき、「やめ」の後にも記述を書いている子がいたので注意したのですが、それでもやめなかったので厳しめに叱責したら、号泣してしまいました。
その後は、校舎長が対応しましたが、ずっと泣き止まないから(←???)、結局、時間後に書いた答案はそのまま採点することになりました。
要するに、通っている塾や、模試を受けている会場で、「お作法」をきちんと教わっていない可能性もあるということです。
その塾では、学生のチューターも試験監督をしており、校舎長が教育をしていなかったので、日常的にそのような行為は野放しでした。一応、四大塾の一画で、自作で模試を作っているのがウリなんですけどね・・・。
「やめ」の合図の後も、問題用紙に書き込みをすることが許容されるのであれば、一体、「制限時間」の意味とは何なのか? ということになってしまいます。想像力を持って考えてほしいのですが、受験生全員がそれをやったらどうなってしまうのでしょうか?
学校によって判断基準は違うかもしれませんが、試験終了後に、問題を解いていた場合は「不正行為」になる、と捉えたほうが無難だと思います。
というわけで、お子様が間違った認識をしていないか要注意。入試前に、確認しておいたほうがいいでしょう。
たまにネットで見かける「判定が80%で、過去問も取れていて、当日も本人は手ごたえがあると言っていたのに、不合格になった」という話は、このような行為をして、不正扱いになった場合もあるのではないかな、と推測しています・・・。
ヒヤリハット2:「入試会場での待機時間の過ごし方」
自分の大学受験のときは、入試会場に日本史の教科書やら英単語帳を持ち込んで、開始直前まで見ていました。周囲の受験生も、そういうことをしていた記憶がありますし、読者様の中にもなんとなくそうするものだ、と思っている方もいることでしょう。
ですが、生徒の受験に講師として関わり始めてから、実は、教材を持ちこむのは、あまり良くないと気づきました。
なぜなら、その教材が完璧に仕上がっていない場合、「これも覚えられていない! あれも覚えられていない!」というように、覚えられていない内容にばかり目がいって、動揺してしまうこともあるからです。
また、語彙の問題集を眺めてから、直後に国語の読解問題を解くと、直前に見た言葉が頭の中に回りまくって、集中できなくなるようなこともあるでしょう。
ですので、いっそ何も持ち込まないか、小説、地図帳、学習漫画といったその子にとってリラックスになるものを持ち込むのが◎です。
あるいは、各科目の試験において、「意識事項」を紙にまとめておき、それを見返すようにすると良いですね。
といっても、「意識事項」の量がやたらと多いと、それもまた動揺の原因になりますし、全てのルールを守ろうとして、虻蜂取らずにもなりかねない。
ですので、「意識事項」は各科目、3つ~5つくらいに内容を絞ることが肝要です。
ヒヤリハットその3:「午後校への移動」
最後に紹介するのは、私が個別指導塾に勤めていた際のエピソードです。
これは、ヒヤリハット(=ヒヤっとしたが、「重大な事態」には至らなかった事例)というよりも、結果として良くない事態に至ってしまった事例となります。ナイーブな話題となるので、話の中にフェイクは混ぜています。
ある生徒が、2/1の午前に第一志望校を受験したのですが、その学校は面接があり、終了時刻が親御様の想定よりも長引いてしまいました。
2/1は、午後にも入試を受ける予定だったので、あわてて会場に向かったものの、道に迷ってしまったこともあり、到着したのは、1科目めの試験開始数分後。
結果、抑えのはずの午後校は不合格。2/1午前も不合格であったため、動揺から、2/2は受験中に体調不良に。2/2と2/3は適性校だったのですが、残念な結果となってしまいました。(ですが、2/4には合格しました・・・!)
この話から言えることは、午後に面接を予定している学校は要注意ということです。
面接終了予定時刻が、募集要項に明記されている場合と、されていない場合があって、明記されている場合でも、午後校への移動時間など、余裕を持って計算したほうがいいでしょう。入試前に、当日を想定して、会場→会場に実際に行ってみるのもいいですね。
ましてや、終了時刻が明記されておらず、学校に質問しても「未定です」などと言われた場合は、午後入試は受けられないものとして考えたほうがよいです。
まとめ
埼玉入試を終えたご家庭も多いと思います。
実際に受験してみて、はじめて、「持ち物は、あれを持っていけばよかったな」「親はああではなく、こうやって待機すればよかった」とわかることもあるので、そのようなことを親子で振り返ると良いでしょう。
↓ 次の記事では、「試験終了~合格発表後」に気を付けると良いことについて書いています。↓
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