中学受験「くり返しやればできる」のウソ? 暗記が得意になる家庭学習の方法

「社会」の指導・学習法

今回は、「社会の暗記」や、「記憶力が良いとはどういうことか?」といったことについてのお話です。社会科以外の暗記学習のヒントになるとも思うので、お悩みの方はぜひご覧ください。

(※ 関連記事はこちら→『中学受験 社会の暗記が苦手な子必見。偏差値50にするには「感覚づくり」が大事』

「暗記物は、くり返しやればできる」のウソ? ホント?

さて、保護者様の中には「どうもうちの子は、他の子と比べて物覚えが悪いようだ。それは、どうしようもないことだ」と考える人がいらっしゃいます。また、暗記物をくり返すだけで、その課題点を解決しようとされる方もいます。

私からすると、記憶力の良さは作り上げていくものだ、と考えます。また、反復学習は大切ですが、反復するのと並行して、土台の力を作ってあげることも重要だと考えます。

いわば、「暗記向き(暗記向け)の頭を作っていこうよ、というのが私の意見です。

暗記が得意な子と、苦手な子の違いとは?

では、どうすれば暗記向き(暗記向け)の頭になっていくのでしょうか?

社会のテキストで出てくる事柄について、暗記が得意な子はイメージを持っているが、逆に、暗記が苦手な子はイメージを持っていないいう特徴があります。

【太平洋戦争】を例に挙げて、説明しましょう。

まず、【戦争(太平洋戦争)】という言葉を、文字面だけ見ている子は、割と多いです。「本土が空襲される」ことが何なのかもイメージできません。これについては、昔ほど、小学校で戦争教育をやらなくなった影響が大きいように思います。

ある語句に対するイメージがないと、なんだかよくわからないまま、言葉尻だけ覚えるしんどい作業をすることになります。こうなると、なかなか覚えられない or すぐ忘れる or 用語だけは何とか覚えていたとしても、ちょっと問題文をひねられるとアウトプットできないような浅い定着になってしまうのです。

しかし、『ちいちゃんのかげおくり』や『蛍の墓』や『はだしのゲン』で、戦況の苦しさに関する具体的なイメージを持っておくだけで、【太平洋戦争】の話題は頭に入ってきやすくなります。

たとえば、【国家総動員法】【配給】【学徒出陣】【集団疎開】の内容&施行された理由が腑に落ちやすくなるはずです。また、歴史の流れも頭に入っていきやすくなります。「身近な人や家族も死ぬくらい悲惨」「生き残っても病気や飢えに苦しんだ」、そういったことがリアルにイメージできていれば、【原爆落とされる→ソ連参戦→国民は苦しい。もう戦えるはずはない。ポツダム宣言受諾】という一連のお話も理解できるからです。

中学受験の社会のテキストは、大人からするとわかりやすい文章で書かれているように見えますが、実は、あれは『元々、いろいろなことを知っている人向けのテキスト』なのです。子どもによっては「わかりづらい」の宝庫になっていることに注意したいですね。

イメージづくりのための「遊び」が大事

ここまでの内容から、社会において、用語が覚えられない一因として、「その事柄に関するイメージがない。そのため、理解が浅くなっている」とおわかりいただけましたでしょうか。

そして、それを解決するためには、テキストで勉強するだけでなく、机上の学習以外で、社会科的な概念の理解をしておくことが大切になります。

『小学生新聞』をとるのも良いですし、史跡、博物館を訪ねるのも良いですし、映画や本にも触れてみましょう。

旅行するときに、『地図帳』を持っていくのもおすすめです。新幹線や車の中で、今、自分がどこにいるのか確認していくと、地理の興味が広がります。ちなみに経験上、成績問わず、9割方の子どもは、この地図帳遊びを面白がりますね。集団塾時代、夏期合宿の引率経験で学びました(笑)。

また、社会科的な概念理解の学習の際は、親御様自身が子どもと一緒に楽しむことが大切です。

昔の教え子で、社会が非常に得意だった子は、「小さい頃にお父さんとお風呂に入ると、毎回毎回、世界史の話をしてくれて、それが面白くて楽しみだった」と話していました。

親御様様がその良さや面白さをわかっていないのに、「みんながやっていることだから」「先々、必要になるから」という義務感や、損得勘定だけで、無理して何かをすすめると、子どもの脳はシャットアウトを起こしてしまいます。

保護者様が興味ないことについては、いっそ無理に触れず、ご自分の知的好奇心がくすぐられる事柄のみ、お子様と一緒に触れてみるのも全然ありです。とにかく、一緒に「遊ぶ」「楽しむ」ことを第一優先にしてみてください。


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