【中学受験】逆転合格をつかむ夏休みの過ごし方-塾の言いなりにならないのが成功のカギ

中学受験「あるある」な話題について

先日、第2回サピックスオープンが終了し、6月末には合不合判定テストが控えています。小6生の親御様は、入試が現実的なものとして見えてきた頃合いではないでしょうか。

成績がふるわなかった方は、「夏休みに取り返そう」と考えると思います。しかし、「塾に言われたこと(宿題等)を、言われたとおりに全てこなす」ことをしていても、夏以降、大きく成績が向上することは無いかもしれません。

そこで、今回の記事では、これからの学習をより良いものにするための「塾との向き合い方」を書くことにしました。「塾からの宿題指示」「過去問指示」「塾とのまずい付き合い方の具体例」について、それぞれ語っていきます。

基本的には小6生向けの記事ですが、それ以下の学年でも役立つ部分はあると思いますので、多くの方に見ていただければと考えております。

塾の指示に対し、「取捨選択」の意識を持つ

「宿題」の取捨選択について

まず、夏休みや二学期以降を有意義に過ごすためには、塾から出される宿題は「取捨選択」をすることが大切といえます。

筆者も大手集団塾に勤めていたからわかるのですが、塾の宿題は、何十人の生徒に対して、最大公約数での指示を出しているものです。「あなたのお子様個人」が、どんな単元の、どんな内容に躓いているかに基づいて、宿題が出されているわけではありません。

塾から出される宿題の中には、その子にとって必要なものがある一方、そこまで重要でないものもあります。「それをやるくらいなら、その時間で、別のものをやったほうが、その子の成績向上には効果的」という状況はありがちなのです。

また、だいたいの大手集団塾の課題量は非常に多く、まともに取り組んだら、終わらないくらいの量が出ていることもざらです。

なぜ、そんな出し方をするかというと、たとえば、塾に対して、「成績が上がらない」というご家庭からの相談があったとします。その際、「〇〇さん、この単元ができていませんね。宿題のテキストに載っていますよ。繰り返し取り組んでいましたか? え、やっていない? じゃあやりましょう!」と対応できるからです。

また、よく入試後に「××のテキストから、△△中学校の入試問題が的中!!」みたいな塾のアピールを見ますが、そりゃ超大量の問題演習させてるんだから、その中から出るに決まっとるやろがい、という感じです。あ、暴言でしたね、スミマセン(笑)

各ご家庭で、子どもにとって必要な問題をピックアップして取り組ませられるのであれば、それが成績向上には一番良いと、塾講師の多くは理解しているのです(多分)。しかし、それだと、親御様の伴走の負荷が大きくなってしまうので、「サービス」として宿題を出しているという事情があります。

中学受験で伴走する親御様は真面目な方が多いので、「宿題=義務」であると考えている方もいることでしょう。また、「塾は子どもの成績をあげるために、宿題を出してくれているんだ」と漠然と捉えている方もいるはずです。

しかし、ここまでに書いた通り、塾の宿題は、主として成績向上を目的に出しているものではありません(もちろん、成績向上の意味合いありますけどね)。

当たり前のことですが、塾もボランティアをしているわけではなく、ビジネスとして、経済的合理性に基づいた行動をしているのです。だから、塾の言うことを全て鵜呑みにするのではなく、主体を家庭に置いて、塾を「活用する」心構えを持っていただくのが大事になります。

宿題の取捨選択に関しては、まずは、ご家庭で「入試から逆算して、子どもにとって必要な課題は何か?」「必要ではない課題は何か?」を考えていただくことが大切です。親御様が「入試からの逆算」の意識を身に着けるには、志望校の過去問を見ていただいたり、あるいは実際に解いていただいたりするのがベストでしょう。

ただ、それが難しいという場合は、塾の先生に「すべての宿題を終わらせることができないのだが、今のこの子に必要なことは何なのか? 内容を絞ってほしい」と相談してみてください。

年度初めや保護者会などで発表される「宿題の優先順位」も、結局はクラス全体に向けた最大公約数の指示でしかないので、必ず個別に質問してみましょう。

「過去問」の開始時期について

志望校の過去問は、塾によって「9月から」、あるいは「10月から」取り組むように指示が出ますが、これも、「そのタイミングで始める=合格できる」という理屈に基づいているわけではありません。

単に7月・8月などに、生徒に答案を持ってこられると、講師のチェックが追い付かなくなるからです。特に夏期講習中は死ぬほど忙しいので、生徒が50人いたとして、50人バラバラの受験校の問題を確認できるわけがありません。

(自分は夏期に、最長で1日12時間の授業をしたことがあります。あのときは若かった。二度とやりたくないw)

ちなみに、昨年、某塾の多くの校舎で「1月は、過去問を解くのはやめましょう」という指示が出ていたようですが、これはおそらく、塾で預かった過去問の返却忘れを防ぐためだと思います。

もし、1月から過去問を解いてはいけない「生徒のための理由があるのであれば、ぜひ教えていただきたいです。私が思い至っていないことがあるのなら謝ります・・・。

さて、過去問にはいつから取り組むべきなのでしょうか?

過去問を解くのにかかる時間は、学校によりけりですが、一般的には、算数50分、国語50分、理科40分、社会40分で、計180分。それに「直し」が加わるので、さらに時間を費やすことになります。

時間的なものを考えると、二学期以降に解いた場合は、1週間に1年分こなすのがやっとです。

塾によっては、9月以降に志望校別講座が開始して、日曜も拘束されるようになります。さらにテストの回数も増えて、それらの復習も加わりますから(← これも取捨選択が必要ですが)、一学期よりも自由に使える時間が少なくなります。よって、たまに過去問が解けない週が出てくることも想定されます。

塾の指示通り、9月~12月に過去問を解くことにしてみます。週を数えてみると、全部で17週でした。仮に全ての週で過去問に取り組めたとしても、仮に、受験校数が計5校であれば、各校「3~4年分」しか解けないということになります。もちろん、どのくらいの年数を解くかは、人それぞれ・状況によりけりですが、第一志望校が「3~4年分」というのは、一般的な演習回数としては少ないです。

また、12月いっぱいで過去問演習を辞めてしまうと、実際の入試開始まで1ヶ月も間が空きます。しかし、そのくらいの期間が空いてしまえば、多くの子は、テスト中の時間配分の感覚など忘れてしまうことでしょう。特に国語は他科目よりも時間配分が難しいので、多くの子にとって、その時期に過去問演習をしないのはマイナスでしかないと思います。

過去問の開始時期や、いつまで解くか? についても、塾の「指示待ち」にはならないほうがいいでしょう。

個人的な考えとしては、カリキュラムが無い国語であれば、一学期や夏休みから少しずつ解いていっていいと思います。一方で他3科目は、基本的な解法や知識が身につかなければ、過去問も解けないので、夏明け開始がオーソドックスです。しかし、社会は「基礎はあるが、知識の活用ができていない」という子に対しては、やはり夏から少しずつやらせる場合もあります。

ただし、これは、あくまで考え方の一つですので、各ご家庭でカスタマイズすることが大切です。

先ほど、宿題の取捨選択は塾に相談すべきだと書きましたが、「過去問を早く始めたいのですが・・・」という相談は塾からは嫌がられる可能性はあります。なぜなら、一学期や夏といった早い段階で解いたとき、点数が悪くて、親御様がむやみに焦るような事態を避けたいからです。

そのため、「必ず、第三志望校から解くように」と指示して、それを破った生徒を怒る塾も見かけるのですが、「本来は、人によりけりですよね」としか言いようがありません。

塾との「まずい」付き合い方

中学受験だけでなく、挑戦には何でも同じことが言えるのですが、誰かの上手くいったパターンを模倣するよりも、「やってはいけないパターン」を知り、それを回避することが大事だと思います。

ということで、塾との向き合い方の「まずい例」を挙げましょう。

それは、「塾を盲目的に信じてしまっているパターン」と、逆に「塾に疑念はあるが、まともにコミュニケーションを取っていない(取れていない)パターン」です。

(ちなみに、「コミュニケーション」とは、塾との接触回数のことではなく、自分の意見を正しく伝え、講師の話を正しく聞く行為を指します)

共通点として、どちらも主体的に塾を「使う」ことができておらず、追従しているだけになってしまっています。

また、いずれの場合も、「あの勉強方法は良い/悪い」「あの塾は良い/悪い」というように、特に根拠もなく、単純な二元論で物事を捉えてしまっている傾向にあるのですが、もう少し視野を広げて、柔軟にお考えいただくことが大切です。

塾からアドバイスされたことがあったとして、受け入れられる部分は素直に受け入れていただく。一方で、「今の子どもの状況には合わないな」と思うことがあれば、その助言は受け入れなくても良い。

そして、講師と対話をしていて疑問に思った部分は、どんどん聞いてみましょう。親御様が、「まともなコミュニケーション」をとってくださるのであれば、質問を嫌がるような先生はいません。

まとめ

夏休みでがんばりたいと考えているご家庭は、まずは塾との関わり方について見直してみていただけると良いと考えます。

また、「やりたいと思っていたことは、7割やれればいい方」です。夏期講習は、塾の拘束時間が長いですから、親御様が想像している以上に、個人的な弱点等を学習できる時間はないと思います。

そういう意味で、宿題の取捨選択は非常に大切ですし、場合によっては、集団授業をたまにスキップして、ご家庭で弱点を個別にたたくのも、選択肢の一つになりますね。

あとは、他の子たちも相当がんばりますから、夏明けのテストで成績は足踏みになる可能性もあることは、想定しておいたほうがいいでしょう。

ぜひ偏差値ではなく、答案の内容(間違え方や、子どもの思考過程)を見てあげてください。内容が以前よりも良くなっているのなら、あとは正しい努力の積み重ねがあれば、いつかは成績も上がるはずです。応援しております。


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