当方は、2024年度の家庭教師募集は締め切っているのですが、未だにお問い合わせをいただいております。大変光栄なことです。本当にありがとうございます。
メールでは、個別指導塾や家庭教師に関する相談をいただくことがあります。そこで、私の考える「マンツーマン指導において、『良い先生』とはどういう人か?」というテーマについて書くことにしました。
自分のような者が語るには、非常におこがましいテーマですので、ギリギリまで記事の執筆・公開を迷いました・・・。
ですが、私に質問が来ているということは、実際はお悩みの親御様がもっとたくさんいらっしゃるのでしょう。今回の記事が、少しでもそういった方の参考になればと思う次第です。
家庭が求めているサービスを与えてくれる先生 = 良い先生である
ネット上の記事・ポスト・動画等では、「良い先生とは何か?」という話題に対して、以下のようにバラバラな意見が見られます。
「家庭教師は、学生ではなくプロがいい」
「指導経験は、〇〇年以上ある先生がいい」
「大手集団塾に勤めた経験のある先生がいい」
「最難関中にたくさんの合格実績を出している先生がいい」
「高学歴の先生がいい」
「子育て経験者がいい」
私からすると、これらはそれぞれ「良い先生」の十分条件ではあるが、必要条件ではないと考えます。
「じゃあ、あなた(筆者)はどう考えますか?」と問われれば、家庭が求めているサービスを与えてくれる先生 = そのご家庭にとっての良い先生 となるのだと答えます。
「成績アップ(志望校合格)の過程に何が必要なのか?」を、親が考える
良い先生の定義は、ご家庭や生徒の状況によって変わります。
たとえば、一般的には、大学生の家庭教師の授業を受けても、大きな学習効果は期待できないと言われることが多いです。しかし、学生講師に伴走してもらった結果、「この先生の指導を受けられて良かった」と生徒やご家族が思えるのであれば、サービスとしては成立しています。
すなわち、その学生講師 = ご家庭にとっての良い先生、ということになるわけです。
だから、個別指導塾や家庭教師の指導を受ける前には、まずは「マンツーマン指導に何を求めるか?」をはっきりさせたほうがいいでしょう。
もちろん、みなさん「成績アップ」「志望校合格」を求めていると思います。
しかし、そこで思考を止めてしまうと、「うちの塾なら、偏差値10以上アップできます!」というような、特に根拠のない謳い文句に流されることになるだけです。
ですので、さらに一歩掘り下げて、「成績アップ(志望校合格)の過程に何が必要なのか?」を考えてみてください。
たとえば、以下のような考え方ができます。
現状:国語が苦手である。でも、親子共に、そもそも国語の問題の何につまづいているのかすらわからない。
必要なこと:本人が何につまづいているのかと、今後、やるべき課題を明確にしたい。
親御様は、10年以上もの間、お子様を見守ってきた一番の理解者です。「成績アップ(志望校合格)の過程に、何が必要なのか?」については、じっくり考えていただければ見えてくると思います。
そして、実際に個別指導を受ける際は、親が必要だと思っているものを与えてくれそうな先生かどうか? 体験授業で確認すれば良いでしょう。
体験授業をただ見学して、先生からの説明を一方的に受けるだけでは十分ではないのです。親御様から希望することを伝えたり、疑問に思ったことを質問したりしていただくことが大切です。
個別指導塾によっては、入塾が決まるまでは、実際に指導を担当する先生とは話ができない場合もあります(体験授業は、担当ではない別の先生が実施する)。そういう塾は避けるか、あるいは、指導担当の先生と話がしたいと交渉してみるか。いずれかですね。
レギュラーでの指導が開始した後も、先生と積極的に意志のすり合わせをするようにしましょう。遠慮する必要は全くございません。
相手の印象や経歴だけ見て、「何となくよさそう」「自分のやってほしいことは、先生が察してくれるだろう」と思ってしまうと、キツい言い方にはなりますが、上手くはいかないでしょう・・・。
ちなみに、筆者個人としての仕事のスタンスを申し上げるならば、親御様が求めていることに関しては、講師の側から聞き出すことも大切だとは思っています。
ですが、個別指導の先生や家庭教師によって、仕事のやり方は人それぞれです。当然ながら、私が大事にしていることを、他の先生方も同様に大切にしているわけではございません。
だから、講師を使う側(ご家庭)が賢くなって、上手にコミュニケーションを取っていくしかないと思うのです。
大手個別指導塾と家庭教師センター、どっちが良い?
筆者は「大手個別指導塾」に勤めた経験がありますが、その経験から、チェーン系の個別指導塾で成績が上がるか否かは、第一に、生徒自身の資質や努力、次に、担当講師の属人的な要素が非常に大きいと考えています。
集団塾と違って、個別指導塾では生徒の数だけ講師の数が必要になりますから、色々な先生を採用せざるを得ないという事情があるのです。
そして、実際の指導において、お子様にどんな先生が当たるのかは、運次第となります。
そのため、「〇〇塾はダメだけど、△△塾は良さそう」、「□□塾は、ママ友が良いと言っていたから、良いに違いない」というように、「塾名」で大手個別指導塾を選ぶのは、賢明な判断とは言い難いです。
また、「家庭教師センター」も同様です。家庭教師はフリーランスであるため、一つのセンターだけで仕事をすることはなく、複数社に登録して仕事を請け負います。
ごく一部の例外を除き、研修等もないので、「この家庭教師センターなら、先生の質は総じて良い」というケースもほぼありません。
個別指導塾や家庭教師センターは、仲介手数料や各種経費をふまえたうえで、授業料の設定をしているので、ご家庭の想像以上に、講師の側は報酬をもらっていない場合もあります。
それゆえ、親御様が「高額な授業料を払っているから、先生もそれだけのことをやってくれるだろう」と思い込んでしまうと、上手くいかなくなるということも、知っておいていただいたほうがいいでしょう。
昨年、大昔に登録して以来、一切仕事を請け負ったことがない家庭教師センターから、電話がありました。話の流れで報酬額を聞いてみたら、「1時間 3,000円」と言っていたので、そのセンターのホームページで、ご家庭が払っている授業料を確認してみたところ、「1時間 7,300円(!)」でした。江戸時代の「四公六民」みたいですねw
1時間 3,000円という報酬では、私が家庭教師指導において実施しているサービスは提供できません。私としては、これらのサービスができなければ成績は上がらず、志望校への合格もないと考えます。よって、私は未来永劫、そのセンターの仕事を受けることはないでしょう。
しかし、家庭教師の中には、普段、実施しているサービスを端折る形で、安価な報酬で仕事を受ける方もいるのだと思います。
非常に生々しい話をしてしまいましたが、こういった裏事情も読者様のお役に立つかと思って書きました。
とにかく、個別指導塾に通う、あるいは家庭教師を雇う際は、担当の先生と向き合うことです。「〇〇塾なんだから(あるいは、経歴がすごいから、ネットの評判がいいから等)、いい先生なのだろう」「高額を払っているのだから、親が期待することはやってくれるだろう」などと一方的に考えるのではなく、積極的にコミュニケーションを取り、お互いの意志をすり合わせることが大切だと思います。
まとめ
ここまでの話をまとめましょう。個別指導塾や家庭教師の指導を申し込む際には、以下のマインドセットが肝要です。
・ご家庭として、マンツーマン指導に求めるもの(=成績アップの過程)をはっきりさせる。
・体験授業では、上記を与えてくれそうな先生かを確認する。親御様から、積極的にコミュニケーションを取る。
個別指導塾や家庭教師センターに関する文句をネット上で見ることがあります。
批判や文句を書く行為が悪いと言いたいわけではございません(消費者が持つ当然の権利ですので)が、そういった書き込みからは、お子様の受験結果に対しても不満や後悔があることが伺えて、その点が気になってしまうのです。
中学受験の第一志望合格率は、30%と言われています。どんなカリスマ講師に習ったとて、全員が全員合格することなんて現実的にありえません。
ですが、結果はどうあれ、全てが終わった後、「成長があった」「良い受験だった」と思えないのは悲しいことです。
塾や先生を選んで続けたのは、ご家庭の自己責任以外に何もないわけです。辛辣で申し訳ないのですが、受験結果が出てから色々と言うのは甘いですし、何よりも子どもがかわいそうだな、と思います。
だからこそ、親御様には「考える」ことと、相手とコミュニケーションを取ることを大事にしていただきたいです。
家庭教師の生徒さんを募集しております。(指導科目は国語・社会)
詳しくは以下の「筆者プロフィール」のページをご覧くださいませ。
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筆者メールアドレス
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