中学受験 自走できないのはなぜ? 子どもが「自走モード」になるには

「自走」論・「伴走」論

こんにちは。中学受験の家庭教師 鳥山と申します。

今、この記事を読んでいただいている方が、「自走」という言葉を検索して、このページに来られたとしたら、おそらく、今の学習のやり方に、引っかかりや迷いを感じていらっしゃるのだと思います。

親が主導して管理する形に限界を感じる。それでも、子どもに任せてみるのが正しいのか、不安が残る。

そうしたお悩みを整理し、考え直すきっかけになればと思い、本記事をまとめました。

【関連記事】
『中学受験 いかに子どもを自走させるか?(前編)-親の心構えのススメ』
『中学受験 いかに子どもを自走させるか?(後編)-親が子どもの勉強に関わるべきタイミング』

どうすれば、子どもは「自走モード」になるの?

読者様が一番知りたいのは、「どうすれば、自走モードになるか?」でしょう。

自走するためのはじめの一歩は、「何かちょっとしたことを、親に言われなくても、やれるようにする」ということです。

たとえば、毎朝、漢字の練習をしているとします。これまでは親が付き添ったり、あるいは毎回「やりなさいね」と声かけしていたとして、「もう、お母さん/お父さんは手伝わない(声かけない)から、自分でやろうね」と本人に任せてみる。

その際には、「なぜ、自分一人でやることが大事なのか?」という理由まで説明してあげるとベストでしょう。

そして、翌朝、実際には漢字をやれていなかったとしても、先回りして「漢字やったの?」と指摘してしまうのではなく、まずは本人が取りかかるまで見守る。完全に忘れていそうなら、「何か忘れていない?」と遠まわしに教えてあげると良いと思います。

保護者様がお忙しく、そこまで時間をかけて対話ができないなら、もう今週の漢字テストは点数が取れなくていいのです。結果が出てから、「来週はどうすればいいと思う?」と本人に考えさせてみてください。そして、自分で行動ができたなら、褒めてあげてください。

このように、一人でもできそうなことや、多少転んでも大事(おおごと)にはならなそうな、小さな一つのことから始めてみると良いと思います。

実際にやってみたら、「漢字の自走はまだ厳しい。親が付き合わなきゃアカン」とわかるかもしれませんし、もしそうであれば、次は、別の勉強を一人でやらせてみればいいわけです。

どういう状態が「自走モード」なの?

自走に関するインターネット上の記事やポストを見ていると、その言葉の定義が曖昧なまま、「自走すべきか・すべきでないか」とか、「うちは自走できる・できない」といった話が先行しがちなようです。

私見としては、どの受験生も自走はするべきだと考えます。(そう考える理由は、過去記事に書きました)ただし、「自走モード」という状態は人それぞれ。

過去の我が子と比べた際、学習に対して、少しでも自発的な行動があれば「自走」なのだと、私は思います。

たとえば、「わからない問題を、塾の先生に質問できた」とか、「何の勉強をやるのかを親に指示されず、自主的に取りかかれた」といったことでも、その子がこれまでにやれていなかった行動なのであれば、十分な自走となるわけです。

その行動が、必ずや良い結果をもたらします。

まだ小学生なのですから、大学受験生のように、何から何まで全て一人でやり切る学習なんて、できなくて当然です。

子どもの性格や能力によっては、親が大きくフォローしなければいけないシーンというのはたくさんありますし、必要とあらば、ぜひしてあげてください。

そもそも論を申し上げれば、「自走」といったワードで、当ブログの記事を検索していただけている方は、「うちは自走できていないかも・・・」と現状にご不安を感じていることが多いと思います。

私からすれば、実はもうそれだけで大丈夫なのだと考えます。そういう読者様は、子どもへの関わり方を模索し、思考ができる方ですから、今は悩まれていても、きっと状況を打開できるはずです。

学習がうまく行かなくなったとき、最も「まずい」考え方とは?

最もまずいのは、学習がうまく行かなくなったとき、親御様が「何か自分たちの知らない、良い勉強の方法がどこかにあるのではないか? 塾やテキストを変えればいいのではないか?」と、科目や単元に対して、即効性がありそうな方法論ばかり追い求めて、近視眼的になることだと考えます。

この場合、子どもも「自分は言われたことは、しっかりとやっているのだ。点数が下がっても、親がその原因を探してくれる」と思考停止して、親の言うことに従うだけになります。キツイ言い方にはなりますが、まず伸びません。

あるいは、親御様ばかりが成績のアップダウンに右往左往していて、あれこれ対策を打っているものの、一方の子どもは感情を押し殺している(あるいは、子どもも悲しんでいるようには見えるが、親が成績を見て落ち込んでいるから、それが悲しいだけ。至らない自分自身に対する悔しさなどはない)ような、親の受験になってしまっているパターンもまずいです。

要するに、「親の関わり方」「子どもの自発性」に目を向けず、他(塾やテキスト、何かのやり方など)に原因を求めてしまっているのです。

今の時期(11月)の小6受験生であれば、「〇〇(科目)における、あなたの弱点は何? そのために、何をどうしなきゃいけないの?」と質問したとき、お子さんはどこまで自分の言葉で具体的に語れますか?

小5なら、「この後、何の勉強しようか?」という質問に、本人が答えられますか?

こういった質問は、自発性の有無を見分ける一つの例となりますね。

中学受験以降も、勉強はまだまだ続きます。今やっていることは、子どもの将来へのステップの一つに過ぎません。

この受験を通して、将来、お子さまにどんな人物に育ってほしいか? をお考えいただくと、視野は広がるのではないかと考えております。

まとめ

繰り返しますように、このブログ、特に自走系の記事に訪れていただいている方の場合、お子さまの心理や、ご自身の学習への関わり方に対する振り返りは十分なのだと思います。

ただ、もし上記の内容にドキっとした方がいらっしゃるのであれば、気を付けていただけると良いと考えております。

末筆ではございますが、「自走モード」という言葉は、ブログ『お受験ブルース』講談社より出版『中学受験 自走モードにするために親ができること』の著者 長谷川智也先生の造語です。

自走モードについてもっと知りたいという方は、ぜひ、長谷川先生のブログやご著書もご覧になってください。(私もいつも勉強させてもらっています)


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