こんにちは。中学受験の家庭教師 鳥山と申します。
「子どもが本を好きになってくれたらいいな」・・・そんなふうに願う親御さんは多いと思います。
そこで、読み聞かせにもぴったりな、「ワクワクするファンタジー系 海外児童書」をご紹介しましょう。
想像力を刺激しながら、ことばの感覚を身に着け、世界感の広がりを理解できる。そんな本を、4冊厳選しました。
対象は、小学3年、4年、5年生。
読書が好きな子はもちろん、まだ読み慣れていない子でも「本って面白いかも?」と感じてもらえるラインナップです。
なお、ストーリーの結末部には触れていませんが、軽いネタバレはあるのでお気を付けください。
※ 関連記事: 『【中学受験】国語偏差値30~45から脱出する方法は、「読み聞かせ」しかない』
【時間がテーマの冒険】『モモ』 ミヒャエル・エンデ

【あらすじ】
町はずれにある円形劇場の廃墟に、「モモ」という女の子が住み着いた。モモは話をじっくり聞いてくれるので、会話相手は前向きな気持ちになる。町の人たちは、そんなモモに親しみを抱いていた。
しかしあるとき、町に「灰色の男たち」が現れた。
彼らは「時間貯蓄銀行」を運営しており、「日々の時間を節約することで、高額の利子を得ることができる」と説明する。時間を節約した人々は裕福になっていくが、常に不機嫌な気分になってしまう。
以前のように、友だちと話せなくなったモモ。灰色の男たちの正体を突き止め、人々の時間を取り戻すための冒険が始まる。
【おすすめポイント】
- 社会の本質に関わるテーマが仄見える傑作。1973年に発表された作品だが、「タイパ」「効率化」に振り回される現代社会を暗示しています。
- ただし、テーマがわからなくても大丈夫!
- 魅力的なキャラクター、独創的な世界観、ファンタスティックなストーリー展開は唯一無二。充分に楽しめます。
- 子どもだけでなく、大人にもおすすめの本。年齢や立場を超えて、読み手の感受性に何かが届く読書体験となるはず。
【夢と魅惑の世界】『チョコレート工場の秘密』 ロアルド・ダール

【あらすじ】
市販のチョコレートの中に、5枚だけ封入された「ゴールデンチケット」。――このチケットを引き当てた者は、世界一の「チョコレート工場」を見学することができる。
チケットを引き当てた「チャーリー」が工場に入ると、そこには、チョコレートの川、お菓子でできた草花、ガラスの大エレベーター・・・、まるで夢のような光景が広がっていた。
【おすすめポイント】
- 2005年 ジョニー・デップ主演で映画化された作品。(邦題:『チャーリーとチョコレート工場』)
- 謎めいた「ゴールデンチケット」の導入からして、ワクワクしない子どもはいないはず。
- 子どもの空想をそのまま立体化したかのような、魅惑的な「お菓子の世界」が存分に描かれます。
- 「甘やかす親 & わがままな子ども」「見栄っ張りな親 & 捨て置かれる子ども」というように、よくある親子の描写が、どこかおかしく、どこか身につまされる形で展開されます。
- ただしコメディタッチであり、重くはありません。
- 最後には「弱い立場にあって、がんばっている子」が報われます。読後感が最高。
【動物との友情】『ドリトル先生アフリカへ行く』 ヒュー・ロフティング

【あらすじ】
「ドリトル先生」は、動物語を理解し、おしゃべりができるお医者さん。医院には、人間の患者がよりつかず貧しかったが、動物たちに囲まれて楽しく暮らしていた。
ある日、「ジャングルで、サルの間におそろしい伝染病が流行っている」という話を聞いた先生は、仲間の動物たちと、遠いアフリカに向かって旅に出る。そこで、一行を待ち受けていたものとは・・・?
【おすすめポイント】
- 2020年 ロバート・ダウニー・Jr主演で映画化された作品。(邦題:『ドクター・ドリトル』)
- 古今東西の小説に「人間語を話す動物」はよく出てきますが、「動物から、動物語を教えてもらう人間」はなかなかいません。そこがユニーク。
- ストーリー序盤では、動物たちから助けられることが多いドリトル先生ですが、旅に出ると、動物愛・優しさ・信念・勇気が存分に発揮されます。
- 個性豊かな動物たちとの、軽妙な掛け合いが楽しいです。
- 読書慣れしていない子は、ルビやイラストの多い『角川つばさ文庫版』がおすすめ。
【楽しくて不思議】『たのしいムーミン一家』 トーベ・ヤンソン

【あらすじ】
ムーミン谷に、春がやってきた。「ムーミントロール」をはじめとした住人達は、長い長い冬眠から目覚める。
仲良しの「スニフ」「スナフキン」と山へでかけたムーミントロール。頂上で「魔法のぼうし」を見つけたところ、楽しくて不思議な出来事が次々に起こり始める。
【おすすめポイント】
- 多くの子が、イラストで目にしたことがある「ムーミン」。この機会にお話に触れてみてはいかがでしょうか?
- 「魔法のぼうし」の中にものを入れると、別の姿に変わってしまいます。卵の殻は雲になり、多年草の束はジャングルになり、入れ歯は謎めいたおそろしいものに・・・。
- かわいいキャラクターと、幻想的で心おどる展開が魅力的。
- 読書慣れしていない子は、ルビやイラストの多い『講談社青い鳥文庫版』がおすすめ。
このシリーズでは、「読書に慣れていない子でも楽しめる本」「小3〜小5の読み聞かせに向いた本」をテーマに、今後もおすすめ作品を紹介していきます。
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