【読書】中学受験生におすすめの本(3)『Occult-オカルト-闇とつながるSNS』むくろ幽介

小学生におすすめの本(読書)

中学受験生やその親御様に向けて、読書におすすめの本を紹介する企画、第3弾は、『Occult-オカルト-闇とつながるSNS』むくろ幽介 (著)です。

『Occult-オカルト-闇とつながるSNS』概要

どんな小学生におすすめか?
・ 怖い話が好きな子
・ 普段、あまり本を読まない子

本文の難しさ
単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 248ページ
小4~小5の子におすすめ。(読むのが得意な子なら、小2~3でもいけます)短編集であり、一つ一つのお話は短い。ルビがたくさん振ってあり、たまに挿絵が挟まれる。普段、本を読まない子でも、比較的読みやすいはず。

本の概要(あらすじ)
SNSアプリ “ Occult “、ここには、いわくつきの物語が集まってくる。動画配信者と交流する中で、不可解な出来事に巻き込まれる『“推し“からの大切なお知らせ』、ゲーム内メッセージの真の意味が恐ろしい『究極のVRゲーム』、夢で見た光景が現実にあらわれる『正夢の海』など、現代社会を舞台にした珠玉の怖い話を20話掲載。

「怖い話」で、読解力アップ?

筆者は子どもの頃から怖い話が好きでした。ベタですが、今でも印象に残っているのは、『トイレの花子さん』『メリーさんの電話』『学校の七不思議(深夜にバッハとかベートーヴェンとかが肖像画から飛び出してくるというアレ)』などなど。これらを友達と話しては、度々、夜トイレに行けなくなっていましたw

怖い話を楽しむには、実は豊かなイマジネーションが必要です。上記に挙げた怪談が今まで語り継がれているのも、シチュエーションが現代的であり、非常に身近に感じられるため、「もしかしたら自分の身にも、同様の怪異が降りかかって来るかも・・・?」という人間の想像力が働くからだと思います。

さて、実は国語の読解でも、「想像力」は大切です。文章に書かれている情景へのイメージや、「自分が登場人物の立場だったら、どう感じるんだろう?」といったキャラクターへの没入感、文章を読むのが得意な子は、こういった想像力があります。

想像力を鍛えるためには小説を読むのも良いのですが、読書慣れしていない子や、幼い男子だと長文の物語には興味を持てないこともあります。まずは、今回紹介する『Occultt-オカルト-闇とつながるSNS』のような怖い話の短編を楽しむことで、想像力を磨いてみると良いかもしれません。

『Occult-オカルト-闇とつながるSNS』感想

この本における、おすすめの短編を紹介しましょう。以下、ネタバレがあるのでご注意ください。

まず、『究極のVRゲーム』。主人公が『異界旅館』というインディーズのホラーゲームをダウンロードするところから始まります。「インディーズ」という設定は、制作者の得体が知れない分、怖く感じるんですよね。。。

また、物語の展開もなかなか上手いです。以下は、主人公が薄暗い旅館を探索する中で、1枚のメモを見つけたシーン。

1枚の古びたメモが、窓際の机の上に置いてあった。きっと、ゲーム攻略につながりそうなヒントに違いないと、僕は駆け寄ってそのメモを手に取った。
だが、そこに書かれていたのはなんとも変な文章だった。

『やあ、待っていたよ。どれくらい待ったかもわからないね。こうして君を目の前にすると、やっぱり少し戸惑うな。でも、もう決めたことだから許してほしい』
(中略)
本当に誰かが語りかけているような普通の言葉。でも、僕はその普通さに嫌な恐怖を覚えた。

『Occult-オカルト-闇とつながるSNS』むくろ幽介

メモの内容は、ゲーム攻略のヒントではない。かといって、露骨に怖がらせるようなホラー系の内容でもない。それが、逆に「あれ?」という違和感と、主人公とのシンクロ感覚に繋がり、怖いけれど、続きを早く読みたくなります。

ちなみに、この物語の結末は次の通り。[このゲーム内に閉じ込められていた制作者が、主人公の身体を手に入れて、現実に戻る → 代わりに、主人公がゲームに閉じ込められてしまう]。ゲームは子どもにとって日常的にプレイするものなので、「自分にも、同じような出来事が起こるかも・・・?」と恐怖を感じると思います。

(これが「呪われた村に、古くから伝わる恐ろしい伝承が~」みたいな話になってしまうと、自分がその村に行くことはないので、どこか遠い話に感じてしまい、怖さはなくなるw まあ、この辺りの感じ方は人それぞれですが)

また、『正夢の海』という話も面白いです。主人公が見た悪夢と全く同じことが、現実でも起きて、どうなるどうなる・・・!?、という内容なのですが、読者としては、最初に悪夢の内容を全て知っているため、ある意味「ネタバレ」している状態。ホラーでありがちな「先が見えない恐怖」とは真逆の「先が見えている恐怖」があり、子どもであれば、そこにハラハラドキドキの新しい怖さを感じるはずです。

そして、この本を20話全部読み終わると、エピローグにて、SNSアプリ “ Occult “の管理人が、「普通のやつはいくつかの物語に触れると 大抵よくないことが起こったりするからな…」と脅しをかけてきます。大人からすれば超ベタな展開ですが、自分が子どもなら凍り付くと思いますw 最後の最後まで気が抜けない良い本だと感じました。


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