【中学受験】塾の面談で差がつく親の「質問力」とは?合格する家庭の実例と考え方

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こんにちは。中学受験の家庭教師 鳥山と申します。

中学受験では、春から夏にかけて、「塾の面談」が多く行われます。

実はこの面談、質問の「しかた」ひとつで、得られるアドバイスの質が大きく変わることをご存知でしょうか?

私自身、かつては集団塾で数百組のご家庭と面談をしてきましたが、「合格する家庭」は例外なく、「質問力」が違いました。

本記事では、合格するご家庭に共通する「質問力」と、その背景にある「思考の違い」を解説します。

親御様の「質問力」が必要な理由

まずは、「『質問力』があることで、有意義なアドバイスを塾の先生から得られる」理由を説明します。

塾の面談は、非常に時間が限られています。また、きちんとした面談ではなく、子どもの送迎の際の立ち話や、電話相談という形を取った場合、余計に時間は限られてくるはずです。

そんな中で、親御様が論点の甘い質問・相談をしてしまえば、講師からもあやふやな返答しか返ってきません。

こうなると、結果として、先生のアドバイスに対して、親御様が「見当違いに感じる」「ピンとこない」ことにつながってしまいます。

「親の漠然とした考えを、掘り下げて聞き出すのも、講師の仕事ではないか?」と考える方もいるかもしれません。

この意見は、「カウンセリング」「コンサルタント」を銘打っているような塾や講師に対してであれば、その通りだと思います。「親御様の話を聞く」ことが、サービスの主体だからです。

しかし、普通の集団塾の先生に対しては、それを求めてはいけないと考えます。

自分も集団塾の講師をしていたからわかるのですが、実は、塾講師は授業以外の雑務が非常に多く、きりきりまいの中で、なんとか面談の時間を作っています。

そういった背景事情を考えたとき、親御様自身が「良い質問」をできるようにしたほうが、短時間でより良いアドバイスが得られる可能性が高くなる。ご家庭にとって、大きなプラスになるわけです。

合格する家庭の質問と、そうでない家庭の質問例

ここで、「合格するご家庭」の質問のしかたと、「そうではないご家庭」の例を挙げましょう。

合格する子の親御様(Aさんは、以下のような質問のしかたをします。

Aさん(国語について)一緒にテストの復習をしたところ、本文が読めていないように思う。問題を解く際、【〇〇の気持ち】が問われても、『なんだっけ?』ともう一回文章を読みなおしている。

『心情語』が理解できていないのかなと思い、語彙の問題集に取り組ませた。また、テクニックを学ぶ問題集もやった。しかし、実際に問題を解くときには、その知識が生かせていないようだ。

うちの子が、何に躓いているのかがよくわからない。また、そのために何をすればいいかわからない。教えてほしい。」

逆に、「そうではない」親御様(Bさんは、以下のような質問のしかたをします。

Bさん(国語について)偏差値がいつまでも上がらない。語彙の問題集や、テクニックを学ぶ問題集もやったのに。何をやれば、成績が上がりますか? 塾ではどうしてくれますか?」

Aさん」と「Bさん」の違いは、何だと思いますか?

Aさん「子どもができない理由」に目が向いていて、それを探ろうと思考しています。

また、「自分ではここまで考えたけれど、ここからがわからない」という「考えたこと」「わからない部分」が明確になっています。

一方、Bさん「できない理由」を考えずに、いきなり「問題集をやらせる」という方法論から始めています。

また、実際にテキストに取り組んでみたとき、子どもの様子がどうだったかを観察できていません。

最後の「塾ではどうしてくれますか?」も質問内容としては、漠然としすぎていて、何を知りたいのかがよくわかりません。

厳しい言い方で大変恐縮ですが、「自分であれこれ考えるのは面倒。成績上げるのは先生の仕事でしょ。何とかしてください」と言いたい印象すら受けます。

言った方としては、自覚はない・悪気もないと思いますが、思い付きのような質問をしてしまうと、聞いた側からは、「他責的」と捉えられてしまうこともあるのです。

たとえ話になりますが、ここに二人の生徒がいるとします。

・ 「ここまではわかったけれども、こうこうこう考えても答えがでない」と自分なりの思考とトライ&エラーの末に、先生に質問に行く生徒

・ 「問題がわかりません。教えてください」と、先生に漠然とした質問をする生徒

どちらが伸びるかといえば、前者ではないでしょうか? それと同じことです。

つまり「質問力」とは、イコール「考える力」なのだと思います。

どうすればいい質問ができるのか?

ここからは、「どうすれば、いい質問ができるか?」について書きます。

ただし、「いい質問をするための『方法論』」を知ったところで、意味がないことは、ここまで記事を読んでいただけているリテラシーの高い読者様であれば、おわかりいただいていることでしょう。

そうではなく、「なぜ、いい質問ができないか?」という根本原因を理解することが大事です。

考えられる原因を、2つほど書いてみます。

「考え続ける」ことが大事

子どもの学習について、「考え続けられているか否か?」で、良い質問ができるかどうかは決まると思います。

とはいえ、現代人は考えなければならないことが多いです。

まず、仕事でもすごく頭を使います。

プライベートでも悩ましいことが発生します。人間関係や、健康問題、お金の問題など、あれこれ思考すべきことが山積みです。

そんな中で、「お子さまの学習についても、もっと考えたほうが良いですよ」とお願い・おすすめするのは、本当は非常に心苦しいのです。

しかし、「成功している家庭」の共通点には「思考し続けている」様子が見られます。

そのため、「合格の導き手」である中学受験の家庭教師としては、「もっと考えてくださいね・・・」と言わざるをえません。

ご自身としては熟考なさっているつもりでも、『結論ありき』で、強引に理屈を後付け」している。もしくは、「ネット等で見た『パターン』に、無理やり当てはめているだけ」な考察(?)も、よく耳にしてきました。

「思考体力」と言う言葉があります。

これは、数理物理学者である西成活裕氏が提唱した言葉で(※ もし、語源が違っていたらご指摘いただけると幸いです)、ざっくり言うと、何かに対して「考え続ける」力を指します。

西成氏いわく、ジム通いで「体力」がつくのと同じで、やり方次第で「思考体力」もつくそうなので、試してみてもいいかもしれませんね。

◆ amazonリンク:『東大人気教授が教える 思考体力を鍛える』西成活裕(著)

たとえば、子どものテストでの誤答を振り返りながら、「なぜ、この子はこう考えたんだろう?」と自身に問い直すことも、思考体力をつける第一歩になると思います。

「自分の安心を求めていないか」振り返る

質問力が鈍る背景として、「安心欲求」があります。

「子どものため」と言いつつ、「ご自身の安心のため」に質問・相談をしていないかも振り返ってみてください。

たとえば、「子どもには、もっと自走してほしい。勉強は自分でやることが大切だから」と言いつつ、いざ学習を子どもに任せてみて、子どもが「親の思った通り」に勉強しないと激怒する。

で、塾に「どうすればいいですか?」と相談にいらっしゃるのですが、率直に言葉を返せば、「お母様・お父様は、何がしたいんですか?」ということになってしまいます。

この場合、親御様としてはご自身の言動や質問が、矛盾したものになっているご自覚はないようです。

だから、親御様としては、「明確な相談」をしたつもりでも、塾の先生からすると意味がわからないから、返答しようがなくて、あやふやな回答を返すことになる。

あるいは、鋭い講師であれば、考えの浅さを見抜いてズバッと切り捨てることでしょう。

こうなると、【親御様として、先生の返答に納得がいかない → 抽象的な質問や、矛盾した相談をくりかえす】というループになりがちです。

ここから抜け出すには、「自分は、本当に『子どものため』を思って行動しているのか?」をじっくり考え直してもらい、ご自身の心理を、メタ認知していただくことが大切ですね。

※ 以下は、関連記事です。

まとめ:「考え続けた家庭」が合格を勝ち取る

「質問力」のあるご家庭、すなわち「考え続けたご家庭」が伸びる・合格を勝ち取る。これが、私の12年の指導経験から見いだした共通点です。

高校受験、大学受験と違って、どうしても中学受験は、「親御様の考え方」の如何で、結果は変わってきてしまいます。

子どもの学習姿勢に評価をくだす前に、まず、親御様がご自分と向き合う。

これができているご家庭は、受験では非常に強いです。みなさんが考え続けられるよう、応援しております。

ちなみに、この記事でご紹介した「質問力」「思考体力」「メタ認知」といった視点は、面談以外の場面でも同様に求められます。

ご関心があれば、ページ下部の【関連記事】もあわせてご覧ください。


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