こんにちは。中学受験の家庭教師 鳥山と申します。
中学受験の国語指導では、「このやり方をすれば、誰でも誰でも成績アップ!」という万能の方法は存在しません。
子どもによって、語彙力も、感受性も、思考のクセも違う。だからこそ、一人ひとりの発達段階を見極めた指導が欠かせません。
そんな中で、私が唯一「生徒全員に共通して、徹底させていること」があります。
それは、設問に対して「まず、超簡単に一言で答えさせる」こと。
本記事では、実際の組分けテストの問題を例に、この考え方の効果と実践方法を解説します。
2023年 5月 組分けテスト(小6) 大問4「随筆文」
大問4-問3
2023年 四谷大塚 5月組分けテスト(小6)
傍線部「とん」とは何ですか。文章中の言葉を使って、十四字で書きなさい。
【「とん」までの文章の流れ】
森田真生『僕たちの「センスオブワンダー」』 筑摩書房
ドングリの話題
↓
未来をめがけて台地にふりまかれる生命の贈り物。落ち葉の上に、コケの上に、石の上に落ちる「かさ、とん、こつん」という音は、人類が生まれるずっと前から、この地球のあちこちで響き続けてきたのである。
この問題ですが、子どもによっては、
「そっか、『生命の贈り物』ってドングリのことなんだ」
「音から考えると、『かさ』は落ち葉の上、『とん』はコケの上、『こつん』は石の上に落ちてるんだ!」
と気づいて、うれしくなって、勢いで「ドングリがコケの上に落ちた。」と書いたことが予想されますが、大変残念ながら、×になります。
この記述答案の解きなおし、読者様ならどのようにさせますか? 自分であれば、以下のやりとりをします。
私「結局、『とん』って何なの? 超簡単に一言で言ってみて」
生徒「音」
私「具体的には、何の音?」
生徒「ドングリがコケの上に落ちる音」
私「そうだね。 でも、答えの幹になる『音』が書けていないから、この記述は×になってしまったんだ。じゃあ、解きなおそう」
そして、生徒が答案を書き終わったら、「設問は、まずは超簡単に一言で考えることが大事だよ」と改めてポイントを伝えます。
おそらくですが、読者様の中には「解きなおさせる際、『この記述の文末は、[音]にしなきゃいけないでしょ』という声かけをする」と考えた方もいるのではないかと思います。
でも、「そもそも、どうすれば文末が[音]になるとわかるの?」という話ですね。
学習の本質を考えると、国語に限らず、全てのテストは「設問に対して、正しく答える」ことができれば良いのです。
だから、まずは短くシンプルに答えを考える思考習慣をつけることが大事なのです。
選択肢問題や書き抜き問題でも使える考え方なので、ぜひ実践してみてくださいね。
※ ちなみに、この問題の模範解答は、「ドングリがコケの上に落ちる音」です。
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