小6 国語のテストは、「設問の読み方」で差がつく(その2:合不合判定テスト 第一回)

「国語」の指導・学習法

先週末に行われた『合不合判定テスト 第一回』はいかがでしたでしょうか? 「基本的な問題はできていると思うけれど、あと一歩の伸びがほしい!」という受験生にぜひ見直してもらいたいのが、問題文の読み方(設問解釈)です。

 前回の記事では、サピックス系テストを取り扱いましたが、今回は、合不合判定テストの大問1「物語文」(出典:如月かずさ『給食アンサンブル2』)を例に挙げて、設問解釈のレクチャーをします。

2023年 4月 合不合判定テスト 第一回 物語文

大問1-問9
傍線部「藤澤さんの声が聞こえてくる」とありますが、このときの「ぼく」にとっては、どのような声として聞こえたのですか。

ア: 年下の者にもていねいに応じる声。
イ: 年相応の落ち着きがにじみでた声。
ウ: 相手への心づかいが感じられる声。
エ: どんなときも気品を失わない声。

四谷大塚 『合不合判定テスト 第一回』2023年 4月

「藤澤さん」とは、中学生の「ぼく(三熊)」が親しくしていたおばあさんで、本文中の様々な表記から、上品な人であることがわかります。

ぼくは、藤澤さんの好きな曲をクラリネットで一生懸命に練習し、誕生日に演奏するなどしていました。ですが、ある日、「ぼくは、自分がいい人に思われたいから、藤澤さんに親切にしているだけなのかもしれない」と自身への疑念に陥り、藤澤さんと距離を置こうとします。

そんな矢先、藤澤さんは交通事故にあってしまいます。幸いケガは順調に回復中なのですが、事故をきっかけに、藤澤さんは遠くに住んでいる息子さんと同居することになりました。その際、ぼくに以下のような手紙を送ってきました。手紙を読んだ後、ぼくは涙を流します。そして、藤澤さんがにっこりと微笑みかけてくれたような気持ちになるのでした。

「残念なのは、これまでのように三熊さんと話せなくなってしまったことです。三熊さんとのおしゃべりは、いつもとてもうれしく、たのしい時間でした。そのようなかけがえのない時間をくださったことに、ただただ心から感謝しております。三熊さんは自分のことを、いい人などではないとおっしゃっていたけれど、わたしはやはり、あなたのやさしさや親切さは、とても尊いものだと思います。どうかその心根を大切にして、素敵な大人になってください」

如月かずさ『給食アンサンブル2』光村図書出版

この問題の正答率は58.2%です。

そこまで正答率が高くない理由ですが、「藤澤さん」の特徴を考えてみると、アの「年下の者にもていねい」、イの「年相応に落ち着いている」、ウの「相手への心づかいがある」、エの「どんなときも気品を失わない」と、全ての選択肢が当てはまってしまう・・・、という点にあると考えられます。

ですので、この問題はただ単純に藤澤さんの特徴が聞きたいわけではないのです。それでは、一体、何が聞きたいのでしょうか?

まず、問題文にこのときの『ぼく』にとっては】という条件がついていることに注目してみてください。「このときのぼく」というのは、「藤澤さんにずっと会えておらず、心配していたぼく」ということになります。

つまり、ぼくは気持ちが弱っていたタイミングで、藤澤さんに手紙をもらった。そのとき、彼女のことをどんな人だと感じたか?が設問の聞きたいことです。

あとは、その答えを一言で考えてみます。すると、「優しい人」(あるいは、「気づかいのある人」など)だと考えられます。あとは、選択肢の中から、自分の考えに近いものを選べばいいので、答えは「ウ」となります。

「このときのぼくにとっては」なんて、いつもの問題文には書かれていない特別な言葉ですよね。その点に気づけたどうかが大切です。以下の記事でも、別の例を挙げて設問解釈のやり方について解説していますので、興味を持った方はぜひご覧ください。


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