「国語の点数が、テストによって急降下するときがある」「成績のムラを無くしたい。どうすれば無くせるのか?」というお悩みをお持ちの方がいると思います。
その問いにお答えしますと、国語という教科はムラを完全になくすことは難しいです。国語ができる子であっても、みんな多かれ少なかれムラがあり、それを抱えたまま、受験に突入していきます。
なぜ、国語の成績にはムラができるのでしょうか? また、ムラを「少なくする」ためにはどうすればいいのでしょうか?
国語の成績が安定しづらい理由
国語の成績にムラが出やすい理由は、科目的な特性にあります。以下、具体的に列挙してみました。
長文が読めなければ、まともに点が取れない
まず、これが本当に大きいです。他科目(算理社)のテストは、概ね問題がそれぞれ独立しています。仮に一つの問題がわからなかったところで、別の問題でバラバラに取っていけばいいわけですが、国語の場合、長文が一つ読めなければ、小問 10~12問分、得点にして4割ほどが総崩れになります。また、国語が得意でない子は、読むスピードが遅いので、「大問2題のうち、片方にしかまとも取り組めなかった」ということもよくあるはずです。
文章で使われている語彙、テーマ、心情が理解できるか? といった不確定要素に左右されやすい
長文が読めない要因には、そこで使われている「言葉」が理解できないとか、説明文の「テーマ」が難解であったとか、登場人物の「心情」が大人っぽくてよくわからないとか、そういったことが挙げられます。
仮に算数であれば、「次のテストは苦手な『速さ』が出るから、思うように点数が取れないかもしれない」という予想がたって、「じゃあ、類題をくり返し演習しよう」となりますが、国語の場合、試験当日までどんな文章が出るかわからず、即効性のある対策は行いづらいのが厄介です。
どれが簡単な問題か、取り組んでみない限りはわからない
中学受験マンガ『二月の勝者』で、算数の模試対策をする際、講師が大問1の計算問題以外の用紙を破り捨てるシーンがありました。計算問題に時間をつぎこみ正答率を上げれば、それなりに偏差値が取れる(他の問題は潔く捨てろ)、ということが言いたいようで、算数が苦手な子にとっては、理にかなった作戦だと思います。
ですが、国語の場合、簡単な小問と難しい小問が混在しているため、どこに時間をかけるべきか予め決め打ちできません。ゆえに、難問や悪問に時間をかけすぎてしまい、結果として他の簡単な問題に手がつけられなかった → 偏差値が下がる、という現象に繋がります。
テスト当日のコンディション・体調に左右されやすい
国語は「完全初見の問題を、その場で読んで、考える」ことをしなければいけません。体調やメンタル的な不調で、集中力が欠けてしまうと、どうしても点数は低く出やすいのは確かです。
国語の成績を安定させるために大切なこと
上記に書いたように、国語の成績は不確定要素(即効性のある対策がしづらいという意味)に左右されやすいです。国語の成績が前よりも下がったとしても、「学力」自体が下がったわけではありません。
ですので、点数が取れなかったときは、「『この文章は』うちの子にとって、力が発揮できない文章だったのだ」と捉えると良いでしょう。そして、そのうえで、「なぜ、力が発揮できなかった(点数が低かった)のか」を分析する。そして、対策を講じていくことが大事です。ここはご家庭だけで実行するには、非常に難しい部分だとも思うのですが、せっかくなのでヒントを書いていきます。
まず、子どもと一緒に本文の内容確認、問題の解き方の振り返りをしましょう。その際、仮に「本文が読めなかったので、問題が解けなかった」という原因がわかったとします。
そして、そのまま大ざっぱな捉え方で終えるのではなく(※ 大ざっぱにすべきでない理由は後述します)、子どもと対話を重ねながら、「85行目までは読めているが、86行目あたりから読めなくなった」「太郎の心情はわかっているが、花子の心情は理解できていない」と、子の読み筋や思考回路を細かく捉えていくことが肝要です。あとは、「この子が読めた文章と、読めなかった文章の違いは何か?」ということを考えてみると、色々見えてくるものがあると思います。
そうすることで、対策も考えられるようになります。たとえば、86行目から読めていない理由が、【その箇所より「科学と宗教」という対比概念が登場したが、意味が理解できていなかったから】であれば、入試頻出の対比概念を知識として教え込めばよいでしょう。
あるいは、86行目の段階で【残り時間が少ないことに焦って、流し読みになってしまった】のであれば、とりあえず落ち着いて読み、読めたところまでの正答率を上げさせるように、大人が説く、といったことができます(ケースバイケースですが)。
(※ 最初の分析が、「読めていないから、解けないのだ」というように大ざっぱだと、考えうる対策も「ちゃんと読もう」みたいな、精神論になってしまうので注意したいところです。)
まとめ
目の前のテストの点数が取れない原因を見極めて、取るべき対策を取って、ムラを「少なく」していく、というのが、国語が「得意ではない子」の戦略になります。地道な作業でありながら、教える側には、テスト内容と子ども双方への深い理解が必要となり、奥は深いです。
ここまで読んで、「そうは言っても、偏差値が取れなければ気になる」という読者様もいるでしょう。矛盾するようですが、自分も偏差値には注目しています。ただし、その子の志望校を受けるうえでの最低ラインがキープできていればいいという考えです。
たとえばですが、麻布中なら、「一番、下ブレした(ムラが出た)回で」、四谷大塚偏差値 60弱あれば、過去問演習のやり方次第で合格点を取ることは可能。しかし、その数値を割るようだと厳しい、といった基準(※)で見ています。小6 2学期であれば、このような現実的な視点も必要ですね。
※ あくまでも、「私が指導する際の基準」であることをご留意ください。
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