当ブログでは、中学受験の家庭教師の立場から、「入試直前期~入試当日」において、親御様の参考になりそうな記事を書いています。過去記事は、以下のハイパーリンクにまとめていますので、興味がある方はそちらをお読みください。
今回の記事では、「入試当日と、合否発表の際に気を付けていただくと良いこと」について書きます。
入試終了後、「答え合わせ」はしない
まず、2/1以降の試験終了後、「答え合わせ」はしないほうがいいです。
今まで模試が終わった後、すぐに丸付けをしていたので、その延長線で、なんとなく入試でも答え合わせしようとしている方もいるかもしれません。
ですが、入試でも同じように丸付けをして、悪い点数だったら、まさに地獄です。(←すみません。注意喚起のために、あえて、過激な表現を選んでいます)気持ちが落ち込んだまま、次の試験に行くことになってしまいます。
加えて、仮に「良い」と感じられる点数だったとしても、まだ合格最低点がわからないのですから、ぬか喜びに終わる可能性もあるわけです。
なんにせよ、心がかき乱されるだけで、メリットはないでしょう。
試験が終わった時点で考えなければいけないのは、2/2以降の入試に、前向きに取り組むことだけです。既に終わったことを気にしたところで、結果が変わるわけではないので、合否は発表まで待つようにしてください。
入試後に復習する場合は、塾や家庭教師に任せる
例外として、「入試問題の復習をします」と約束してくれた先生(塾講師や家庭教師)がいる場合は、丸付けをしてもOKです。ただし、丸付けするタイミングは、「合否発表後」でなければいけませんが。
たとえば、複数回入試がある学校で、【1回目は残念な結果 → 先生と一緒に復習をして、「もっと取れたじゃん!」と気持ちを盛り上げてもらう → 2回目の入試に挑む】・・・こういう流れがつくれれば、次の入試では合格のチャンスが出てきます。
しかし、この対応は結構難しい。なぜなら、復習して「もっと取れたじゃん!」という展開に持ち込めなければ、全くの逆効果となってしまうからです。
ですので、必ず、入試時の対応の経験が豊富な塾の先生や、家庭教師に任せましょう。
もっと言うと、親御様ご自身でこのような対応はするべきではありません。あなた様が、伴走に自信ありのスーパーな親御様だとしても、動揺されている分、自力で解決しようとすれば、悪い方向に行ってしまうと思います。
ただ問題を教えられればいいわけではなく、そういう次元とはまったく別の力や、経験値が求められてしまうので、プロの先生に任せることを、強くおすすめします。
落ち込んだら、悩んだら、とにかく塾に行く
家庭教師という自分の立場で、こんなことを言うのもなんですが、本音を言うならば、不合格後の復習は、「先生1:生徒1」のマンツーマンよりも、「先生1:生徒複数」のほうが望ましいように思います。
その理由は、不合格で落ち込んでいる子どもにとっては、言い方はなんですが、「なんだ。他の人も落ちたんだ」と思うことが大事だからです。
「不合格=特別なことではない」と、認識できるだけで、前向きに次に挑戦する気持ちが生まれます。
まだ12歳の小学生にとって、入試で不合格になると、自分という存在が否定されたような気分に陥るものです。
特に優秀生の場合、それまでの人生での失敗経験が少ないということもあって、「今までに経験したことがない挫折」というショックを、不合格通知でもろに味わうことになってしまいます。
懸命な読者様は、重々ご承知おきの通り、中学受験は人生の通過点に過ぎません。
しかし、子どもによっては、不合格通知を受けて、まるで「この世の終わり」かのような捉え方をしてしまう、ということですね。そんなときには、塾に行って、(ああ、自分以外にも落ちた子がいるんだな・・・)と、体感するのがいいと思います。
塾によっては、トラブル防止のために「合否結果は口外するな」と言っているところもあります。もちろん、定められたルールは守るべきですが、隠したところでなんとなく伝わるし、それで子どもの気持ちがやわらぐなら、それで良い。
親御様が過保護になって、自宅で子どもを囲って、腫れ物に触るかのような扱いをなさると、不合格という事実に、大事(おおごと)感が出てしまうので、いつも通り、塾でみんなで過ごすのが良いと思います。
また、親御様として、「今後の受験校をどうするか迷っている」というような場合も、お一人で悩まず、ぜひ塾を活用してくださいね。
あらかじめ、不合格が出た後の具体的な行動を決めておく
上記の記事に詳しく書きましたが、あらかじめ、「第一志望校の結果が2/2に出る → 残念な結果の場合、2/2の午後は塾に行く」などと、色々な状況を想定して「なるべく具体的な行動」を考えておいたほうがいいです。
いざ、不合格の発表が出ると冷静になれず、親御様もパニックになる場合もあるので、頭がクリアな今のうちに想定しておきましょう。
不合格が出た後、「塾に行きたくない」と言い出す子がいます。
塾の先生やお友達と揉めたとか、そういった事情がある場合は行きたくなくて当然です。ご家庭でケアをするしかないですね。
あるいは、「別に行く必要なんてないでしょ」というニュアンスで、本人がケロっとしている場合は、もちろん行かなくて構いません。家で過ごしましょう。
ですが、上記2つにあてはまらず、本人が明らかに落ち込んでいるのなら、塾に行かせた方がいいです。
子どもが一過性の感情で「行きたくない」と言ってるだけなのに、親御様も子を傷つけたくない思いから、言葉をうのみにしてしまって、家庭内でフォローしようとして泥沼・・・、というパターンもあるでしょう。
しかし、あらかじめ「残念な結果のときは、塾に行くんだよ」と決めておけば、こういう事態も避けられます。
合否の結果を本人に知らせるか否か?
たまに、「合否結果を親だけ見ておいて、子どもには知らせない」というご家庭があります。
その理由は、「不合格だとショックを受けて、次の試験に前向きに挑めなくなるから」というもので、一見、合理的に見えるのですが、この作戦については、はっきりと「やめておいたほうがいい」と言わせていただきます。
指導経験上、まずこのパターンは上手くいきません。他の家庭教師に聞いても同様のことを言います。
結果が合格なら良いのですが、不合格だったとき、親御様としてはやはり動揺が顔に出るものです。このブログでは散々書いてきていることですが、子どもは親のちょっとした変化にめちゃくちゃ敏感なので(← ASD傾向などがない限り)、はっきり言って、隠しているつもりで、バレバレです。
そうなると、子どもは「どうも明らかにヤバそうだけど、でも約束したから自分から結果は聞けないし、聞くのも怖い・・・」とモヤモヤしてきて、「自分も何ともないフリしなきゃ」と、一番大変な時期なのに、親に対して、妙に気を使うような事態になってしまいます。
リアルに想像してみてほしいのですが、「周囲の人間が裏では事情通になっていて、それを自分だけ気づかないフリをしている」というのは、かなり精神的に疲弊する状況のはずです。
そもそも、本人の入試なのに、本人だけ結果を知らない状況は「不自然」です。子どもは受験に勝ち負けがあることくらい知っているし、これまでの模試や塾での立ち位置から、既に現実を知っています。
だから、変に隠すくらいなら、はっきり結果を言ってあげて、わーーーっと泣くなりして、気持ちを発散して、また次の試験に向けて、切り替えてもらったほうがいいと思うのです。
ただ、「うちはそれではダメなんだ。どうしても心配なんだ」という場合は、「家族全員(あるいは、本人に接する者全員)結果を見ない」が鉄則です。
過去には、ホテルから受験会場に向かうお母様と本人は結果を見ず、ご自宅にいるお父様だけが結果を見て、本人たちにも、私(家庭教師)にも結果報告はしない、という取り決めをしたことがありました。
とにかく、「子ども一人だけ知らない」という状況はつくるのはやめましょう。お子さんは親御様のあずかり知らぬところで、既に大人になっています。色々なことがわかるようになっています。そのことをご認識いただけると良いのではないかな、と思います。
まとめ
ここまでの内容をまとめましょう。
「ご家庭で、入試問題の丸付けはしない」
「丸付けするとしたら、先生が復習につきあってくれる場合のみ」
「残念な結果が出て、落ち込んだり、悩んだりしているなら、塾に行く」
「残念な結果が出た後の具体的な行動は、あらかじめ決めておく」
「合否結果は、隠したところで子どもにはバレバレ。子どもに変な気を使わせるくらいなら、はっきり伝える or 家族全員で結果を見ないようにする」
これで、直前期対策のシリーズ記事は終わりとなります。(※ また次年度書くかもしれませんが、2025年度入試においては最後となります)
この記事が、少しでも参考になれば幸いです。読者様のお子様が、最後まで走りきれるよう応援しております!
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