こんにちは。中学受験の家庭教師 鳥山と申します。
夏休みに作文の宿題が出されたが、何をどう書けばいいかわからず、手が止まってしまうという子もいるでしょう。
そんな子たちのために、「作文の書き方」を解説することにしました。
親御様が記事を読んでいただいた上で、各ポイントを、お子さんにお伝えください。
公立中高一貫校の適性検査や、中学受験における総合型選抜(AO入試・一芸入試)にも応用できる内容です。
第一回目は、「読書感想文」の書き方をレクチャーします。
※ 関連記事:『【例文あり】税・水など「テーマ作文」の書き方。公立中高一貫校にも対応』
読書感想文は、本の選び方が9割
おすすめは、「ノンフィクション」と「新書」
まず、読書感想文は「本の選定が9割」であるとお知りおきください。
すなわち、選んだ本によって、作文の書きやすさ、書きづらさ、ひいては完成度が変わってしまうということです。
では、具体的にどのような本を選べばいいのでしょうか? 以下にまとめました。
作文が書きやすいのは、「筆者の意見・感想」が明確になっている本です。
たとえば、『ノンフィクション』や『ジュニア新書』であれば、だいたい、以下のように明確な論理構造となっています。
(1) 筆者の体験・見聞・取材記録・統計データが示される。
(2)【(1)について、私はこう考えた(感じた)】という意見・感想が示される。
この内容に対しては、作文を書き慣れていない子でも、自論を筋道立てて述べやすいです。
「筆者の意見は〇〇〇〇であり、私はそれに同意(反対)する。その理由は・・・」というように、自分の意見を論理の枠にあてはめて書いていけるからです。
本を読みなれてない場合は、たとえば、以下のような易しめ『ノンフィクション』シリーズがおすすめです。
本を読みなれていない子向け「ノンフィクション」
◆ ポプラ社 『ノンフィクションシリーズ』
◆ 少年写真新聞社 『ちしきのもりシリーズ』
◆ 講談社 『世の中への扉シリーズ』
読書習慣のある子であれば、以下のような『ジュニア新書』を手に取ってみてください。
読書習慣のある子向け『ジュニア新書』
◆ 岩波書店 『岩波ジュニア新書』
◆ 筑摩書房 『ちくまプリマー新書』
作文が苦手な子の場合、「小説」を選ぶのはNG
一方で子どもは、『小説』を読書感想文の題材に選びたがります。
しかし実は、『小説』は読書感想文が書きづらいのです。なぜなら、出来事の羅列がえんえんと続くからです。
それに伴って、感想文で書く内容も【Aくんが、××に行って、△△をした。そこで、**という事件がおきて、Bくんが泣き出して・・・】というように、単なる「内容紹介」になってしまいがちです。
「読書感想文」の執筆目的は「自分の感想を書く」こと。内容紹介が多くを占める作文は、良い文章とは言い難いでしょう。
比較的、小説でも感想文が書きやすい作品もあります。たとえば、中学受験頻出の「重松清」や「辻村深月」の著作。
両名共に、明確にキャラクターの心情を表現する傾向にあります。だから、心理描写を取り上げて【私も共感した。その理由は・・・】などと書いていくことが可能です。
しかし、これが『エンタメ小説』となると、作文の題材としては「完全にNG」だと考えます。
エンタメ小説は、人を楽しませることを目的として書かれた小説なので、「共感・学びの要素」が薄く、きわめて感想が書きづらいのです。
念のために述べておくと、「絶対に、この本の感想を描きたいんだ!」とパッションがほとばしっているのであれば、エンタメ小説でもなんでも、好きな本の感想文を書くべきです。
けれども、子どもが「読書感想文だるい」「筆が進まない」などと困っているのなら、この記事に従って、本の選定から、戦略を持ってみてはいかがでしょうか?
「読書感想文」のおすすめ構成案。「初心者向け」「中級者向け」それぞれ紹介
次に、読書感想文の「構成案」を提案します。「初心者向け」「中級者向け」二つを用意しました。
いずれもテーマとして、乙武洋匡『五体不満足』を選定しています。
「初心者向け」読書感想文 構成案
◆ 1段落目:導入 「本のあらすじ・概要」を簡単に説明する
◆ 2段落目:「作中エピソード(1) + 筆者の意見・感想」 → 「自分の考え」を書く
◆ 3段落目:「作中エピソード(2) + 筆者の意見・感想」 → 「自分の考え」を書く
◆ 4段落目:まとめ 「2段落目~3段落目の筆者の意見・感想に共通する考え方」をまとめる → 「自分が学んだこと」を書く
「初心者向け」読書感想文の例(乙武洋匡『五体不満足』)
【タイトル】 乙武洋匡『五体不満足』から学んだ「ハイパーポジティブ」思考
1段落目(導入:本の概要)
『五体不満足』は、著者の乙武洋匡さんが書いた自伝だ。乙武さんは先天性四肢切断という障がいを持ち、生まれたときから、両手足がなく、ずっと車いすで生活してきた。
2段落目(「作中エピソード + 筆者の意見・感想」 → 「自分の考え」)
『五体不満足』では、小学生時代の乙武さんが車いすから降り、自分の身体を使って、健常者と同様に、体育に取り組む様子が描かれている。
他のクラスメイトがトラックを2周するときには、先生が「君は、あの水道のところまで行って帰ってらっしゃい」というように伝えていたそうだ。
つまり、みんなと同じ種目に取り組むが、ゴール・目標は乙武さんだけ別ということだ。
乙武さんは、「ボクは見学が何より嫌いで、新たな課題を与えられると、うれしくて仕方なかった」と述べている。私は乙武さんの考え方に、とても衝撃を受けた。
仮に私が障がい者だったら、健常者と同様に動けないことを不便に感じて、ネガティブになってしまいそうだ。
それなのに、乙武さんはとんでもなくポジティブだ。
(※ 3段落目も、「作中エピソード + 筆者の意見・感想」 → 「自分の考え」を書きます)
4段落目(まとめ:「2~3段落目の筆者の意見・感想に共通する考え」 → 「自分の学び」)
身体障がいは、身体的特徴にすぎない。この考え方は乙武さんのモットーとして、作中を通して語られている。
そして、「障害者にはできないことがある一方、障害者にしかできないこともあるはずだ。(中略)ボクは、そのことを成し遂げていくために、このような身体に生まれたのではないか」とも述べている。
私は細かいことを、うじうじと気にしがちな性格だ。
たとえば、「体が小さい」ことにコンプレックスを持っている。しかし、乙武さんなら、私のコンプレックスを知って、こう言うのではないか。
「そうか。君は体が小さいんだね。でも、それってプラスもあるよ。電車で大きな人が、座席を1.5人分くらい、占拠していることがあるだろう? そういうとき、普通体形の人なら、物理的に座席に座れないよね。でも、君なら座れるじゃん。疲れているときとか、得だよ」
この本を読んで、乙武さんのような考え方ができれば、人生を前向きに生きていけると考えた。
もし今後、いやなことがあっても、乙武さん的な発想で「でも、それって、プラスなんじゃないか?」と物事をポジティブにとらえていきたい。
「中級者向け」読書感想文 構成案
◆ 1段落目:導入 「本のあらすじ・概要」を簡単に説明
◆ 2段落目:「この作品の魅力」を説明(1) → それに基づく「作中エピソード」を書く
◆ 3段落目:「この作品の魅力」を説明(2) → それに基づく「作中エピソード」を書く
◆ 4段落目:まとめ
「中級者向け」読書感想文の例(乙武洋匡『五体不満足』)
【タイトル】 乙武洋匡『五体不満足』の2つの魅力
1段落目(導入:本の概要)
『五体不満足』は、著者の乙武洋匡さんが書いた自伝だ。乙武さんは先天性四肢切断という障がいを持ち、生まれたときから、両手足がなく、ずっと車いすで生活してきた。この本の魅力を語っていきたい。
2段落目(この作品の魅力を説明(1) )
まず、この本の1つ目の魅力は、「乙武さんのポジティブな考え方」だ。
(※ 以下、「初心者向け」と同じ内容になるため省略します)
3段落目(この作品の魅力を説明(2) )
この本の2つ目の魅力は、「障がい者=かわいそうな人たちではない」という発想の転換だ。
今でこそ、マンガやアニメに車いすのキャラが登場したり、パラリンピックで障がい者スポーツが大きく取り上げられたり、健常者と障がい者の精神的なへだたりは低くなっているように見える。
しかし、母から「以前はそうではなかった」と聞いた。
昔は、「障がい者を悪く言ってはいけない。それは差別だから」という考えがあったそうだ。そして、腫れ物に触るような扱いをしていたのだ。
しかし、乙武さんは作中でこう述べている。
「(障害者と)しばらく接していても、その人とはつきあいづらいと感じたら、『障害者だから』と変な同情を寄せて、無理に付き合う必要はないだろう。その時、その障害者が『差別だ』などと寝言を言ったら、きちんと教えてあげてほしい。『アンタの性格が悪いんだよ』と」
確かに乙武さんの言う通り、障がいの有無と、人格や素行の良しあしは全く別問題だ。
乙武さんも中学生の頃、授業をサボって、公園などで友達とおしゃべりをしていたという。作中では、不良のようなエピソードもありのまま書いている。
少なくとも、乙武さんが「模範的」な人物かというと、そうではないと思う。いわば、私たち健常者と同じく、サボりもすれば、自分勝手にも振る舞う人間の一人なのだ。
私はこの本を読んで、そのことに気づいた。また、社会全体として障がい者に対する意識が変わったのも、『五体不満足』の出版がきっかけだったといえる。
世の中にパラダイムシフトを起こしたパワーあふれる思想。それが、この本の魅力だ。
(※ 4段落目の「まとめ」は省略します)
構成案を活かすために、気をつけたいこと
「初心者向け構成案」は、型にはめて書いていくだけで、それなりの内容になるので、作文が苦手な子にはおすすめです。
注意点として、「筆者のエピソード3:筆者の意見3:自分の意見4」という割合で書くように気を付けてください。
書き慣れていない子は「筆者のエピソード7:筆者の意見2:自分の意見1」のようになりがちです。
くり返しますが、「読書感想文」の執筆目的は「自分の感想を書く」ことにあるわけですから、感想を多めに書くようにしましょう。
「中級者向け構成案」は、本の「魅力」を抽象化して考えなければいけません。しかも、それが的外れなものになってはいけないので、ややハイレベルかと思います。
ただし、成功すれば、初心者向け構成案よりも、「深い」作文が書けるので、ぜひチャレンジしてもらいたいです。
まとめ:「誉め6割、指摘4割」のすすめ
今回、紹介した構成案以外にも、筆者の体験に対して、「自分も似たようなことを経験しました」と実体験をクロスさせながら書く「エッセイ的な書き方」などもあります。
あくまで、この記事は「困った子」への指南であり、文章の書き方に正解などないので、色々な書き方を試してみてください。
あと、親御様にお願いしたいのは、書き慣れていない子に対して「ダメ出し」をしすぎないことです。一気に書くことが嫌になってしまいます。
「悪い点を指摘するな」というわけではありませんが、大人から見て気づいたことを、1から10まで全て指摘してしまうのは悪手です。
「誉め6割、指摘4割」の配分がベストです。「何をどこまで指摘するか?」は、親御様の腕の見せ所だと思います。
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