成績が伸びないのは、地頭?努力不足?親の教え方?「親の不安:4タイプ」と対処法【中学受験】

中学受験「あるある」お悩みを解決

こんにちは。中学受験の家庭教師 鳥山と申します。

「ちゃんと教えているのに、理解してない。地頭悪いの?」
「机に座ったと思ったら、すぐぼーっとしてる。本当に努力できない子だ」
「やっぱり、私の関わり方が悪いのかな・・・」

――中学受験を経験する親御様なら、誰しも一度は感じる不安かもしれません。

私は指導者として数百組のご家庭を見てきて、気づいたことがあります。

それは、成績が思うように伸びないときほど、親御様の不安が「子どもとのやり取り」に影を落とすこともある事実です。

本記事では、陥りやすい「親の不安:4タイプ」を紹介します。

どれか一つに当てはまる方もいれば、複数の要素が混ざっている方もいるでしょう。「あ、これ自分かも・・・?」と感じたときこそ、チャンスです。

「なぜ、そう感じてしまうのか?」を見つめなおすことで、お子さんへの向き合い方が変わってくると思います。

「子どものせいでも、親のせいでもない」。この記事が、そう思えるヒントになれば幸いです。

あなたはどのタイプ? 中学受験・親の不安4タイプ

以下が「親御様によくある不安:4タイプ」です。

よくある不安:4タイプ
  1. 地頭至上主義タイプ(ジアタマ型)
  2. 過剰な努力信仰タイプ(ドリョク型)
  3. 落ち込み自己責任タイプ(ジコセキ型)
  4. 方法論ジプシータイプ(ジプシー型)

(1) 地頭至上主義タイプ(ジアタマ型)

「うちの子は、地頭が悪いから」

「〇〇くんは地頭がいいから、上クラスで当然。うちとは違う」

子どもが厳しい受験勉強に晒されて伸び悩んだとき、このように捉えてしまうのが、「ジアタマ型」の親御様です。

こう考える背景には、「もし本当に地頭が悪いなら、子どもに努力を強いるのは残酷かもしれない・・・」という「親としてのやさしさ」もあるでしょう。

あるいは、「私の教え方・育て方は悪くない」という「伴走者としての苦痛からの逃避」もあるように思います。

いずれにせよ、成績不振の理由を「地頭」に求めたとして、結局のところ、心のモヤモヤは晴れないのではないでしょうか?

人間のもつ多用な要素を、おおざっぱな言葉でくくってしまっている

私の意見を述べましょう。

中学受験の勉強は「スピードの速い授業を理解するだけの『聞く力』」「大人向けの本を楽しめるだけの『語彙力』」・・・、その他「読解力」「抽象化能力」など、もろもろの能力が求められます。

それらは、中学~高校(13~18才)にかけて自然と伸びるのですが、中学受験では、「10~12才で身についている」ことが求められてしまう。

すなわち、「超早熟」であることが要求されているわけです。

「地頭」という言い方は、人間の多様な要素を、雑にくくった、きわめて定義のあやふやな言葉でしかありません。

ですので、「地頭が悪い」ではなく、「うちの子は、早熟ではないんだな」と捉えていただく。

また、中学受験を前向きに続けたいのであれば、「子どもが何に困っているか?」を観察することをおすすめします。

そのうえで、「聞く力」「語彙力」といった、塾・テキストでは身につかない力を、個別に伸ばす手段を考えることが肝要になります。

詳しいメカニズムは、下記の記事に書いているので、ぜひご覧ください。当ブログ一番の人気記事です。

(2) 過剰な努力信仰タイプ(ドリョク型)

「努力が全然足りていない!」

「やれば、もっとできるはずなのに・・・」

「ジアタマ型」とは逆で、成績が伸びないとき、子どもの努力不足に原因を求めるのが「ドリョク型」の親御様です。

もちろん、親御様のおっしゃる通り、子どもの努力が足りていない場合もあるのでしょう。

しかし現在、受験勉強に行き詰まりを感じて、お困りなのであれば、ご自分のお考えが「一面的」になっていないかを振り返っていただくと良いと思います。

実は家庭教師として、「うちの子は努力しないんです」と親御様から相談を受けた際、(え、私からすると、努力してるように見えるんですが・・・?)と感じることがあって、そのパターンは以下になります。

1.特定の「勉強の形式」をとっていないと、「努力していない」と決めつけてしまう

たとえば、親御様は幼少期、「コツコツ型」で、毎日の勉強の積み重ねを大切にしてきたとします。

一方で、子どもは「物事を短時間で理解し、次に進みたがるタイプ」だとしましょう。

この場合、親御様は子どもを「全然、勉強していない!」と言いがちです。

親御様と子どもの学習スタイル、どちらが優れているかという話ではありません。学びの過程や定着までにかかる時間に「違い」があるだけなのです。

親御様が時間をかけて取り組んできたのは、何度も繰り返すことで理解や定着を図っていたから。

逆に、お子さんは一度でつかめる力があるからこそ、繰り返しの必要性を感じていないのかもしれません。

こうした「学び方のタイプの違い」を見極めておくと、親子間のズレにも落ち着いて向き合えるようになります。

2.手が止まっている子どもの心理に、考えが及んでいない

詳しくは、上記の記事で書きましたが、親御様が若年層の頃と比較したとき、現在の中学入試問題は、非常にレベルが高くなっています。

難化した受験勉強において、子どもが「演習量をこなせない」理由は、大きくわけて2パターンあります。

1つめは、「『問題の読みとり』や『思考』で、時間がかかっている」場合。

これは「頭を使う」ことができているわけですから、本来は問題ありません。

でも、「宿題のページが、全然進んでいない」という結果だけを見て、叱ってしまう親御様もいると思います。

2つめは、「テキストをぱっと見たとき、7割以上の問題がすぐには解けなさそうで、うんざりしてしまい、手が止まってしまう」パターン。

中学受験では、子どもの「やらない」は、実は「やれない」であることも多いです。

いずれにせよ、「やってない=ダメ」と決めつけるのではなく、この記事を参考に「やれないのにも、理由があるのではないか?」と考えてみてください。

(3) 落ち込み自己責任タイプ(ジコセキ型)

「私の教え方が悪かったのかな・・・」

「伴走もできない『ダメ親』には、見られたくない」

「ジアタマ型」も「ドリョク型」も上手くいかない理由を子どもに求めますが、反対に、親御様自身が責任を抱えこんでしまうのが、「ジコセキ型」です。

ジコセキ型には、佐藤ママ(佐藤亮子氏)に憧れがある方が多いと思います。

あるいは、SNS上のママ友に、影響を受けやすいタイプ。すなわち、「理想の親像」に苦しみやすいといえます。

親に伴走の責任はあるが、成績は誰のせいでもない(筆者の意見)

個人的な意見を書きます。確かに受験を開始して終えるまで、親としての責任は伴うと思います。

中学受験することを決断したのは、子どもではなく、親御様のはずだからです。

ただし、その「責任」とは、学習環境を整えたり、子どもが前向きになれるよう声をかけたりすることです。

良くも悪くも、親御様に「テスト結果」はどうすることもできません。

「成績が出ない=親のせい」ではないので、子どもへの関わり方に関して反省されたとしても、ご自分を責めすぎないでください。

「親に伴走の責任は伴うが、成績や合否は誰のせいでもない」と考えていただくことが大事です。

「自分軸」がないと、不安定になりやすい

「ジコセキ型」の方ほど、実際には責任を負いきれず、「ジアタマ型」「ドリョク型」「ジプシー型」に転じやすいように思うので、ご注意いただきたいです。

佐藤ママは、誰かのマネをしたわけでなく、自らの意思で、徹底して子どもの受験に関わっています。

一方で「ジコセキ型」の方は、他者(佐藤ママや、SNS先輩ママなど)に影響を受けて、模倣をなさっている。

要するに、「自分軸」の行動ではないため、上手くいかなかったときに不安定になりやすいわけです。

そういった「背景」「傾向」を客観視していただくだけでも、お子さんとの向き合い方は少し変わってくると思います。

(4) 方法論ジプシータイプ(ジプシー型)

「まだ『正しいやり方』に出会っていないだけ」

「もっと『効率のいい方法』があるはず」

「ジプシー型」は、インターネットで、評判の良い勉強法やテキストをひたすら調べて、子どもに与える。

あるいは、効率性や成果を求めて、「塾ジプシー」「家庭教師ジプシー」なさるタイプです。

その方法論が「ハマれば」良いのですが、方針がコロコロ変わることで、子どもが混乱して、思うように成績が伸びない場合もあるでしょう。

また、このタイプの方は「他責的(先生のせい、テキストのせい等)」になりやすく、本質を見失ってしまいがちです。

中学受験の場合、ノウハウ・テクニックよりもさらに大切なことがあり、そこに目を向けていただくことが大事です(詳細は後述)。

令和の中学受験は、「情報差」では決まらない

確かに、親御様が大学受験生だった頃(約25~35年前)は、「情報」で偏差値が決まってしまう側面はありました。

たとえば、参考書にも「当たりはずれ」があって、進学校に通う生徒は、先生や友達から「あれいいよ」と教えてもらえる。

しかし、非進学校の生徒は「はずれ本」を掴んで、そのことにすら気づいていない、といった感じです。

時が経ち、令和の現在、「情報の差」はなくなりました。

親御様がよほど不勉強でもない限り、「情報」で成績は決まりません。(※ このブログに来る読者様のうち、9割以上の方は「情報」は十分すぎるほど足りていると思います)

また、中学受験は大学受験とは全く別物です。

成人が受験する大受と違って、中受は、「未成熟の小学生」が「やたら難しいテスト」に挑むという特異性に、注意しなければいけません。

それを踏まえると、「本人の問題を解く様子」や「テスト答案(※『成績表』ではないので注意)」を観察することが本当にとっても大事なのです。

観察が十分に足りている状態で、「子どもにあったテキスト・勉強法」を調べる分には構いません。

しかし、「一般的に評判のいいコンテンツ」に、「とりあえず手を出してみる」意味はないでしょう。

(そもそもネット上の口コミは、いくらでも「工作」できますので・・・)

受験勉強が、形式ではなく、「質」の時代に突入している。

「昔とは時代が違うんだ」ということをご認識していただくことが大切ですね。

まとめ

受験勉強を進める中で、「不安」を持つこと自体は、親御様として全くもって自然なことです。

ですが、その不安が思考停止や責任転嫁(子ども、塾、テキストなど)に繋がってしまうと、最も大切な「子どもを観察する目」が曇ってしまいます。

まずは、「どのタイプに近いか?」を知っていただき、ご自分がやってしまいがちな「思考のクセ」をメタ認知していただくことが肝要です。

成績が伸びない時期こそ、意外と「親としての自分」を見直していただくことで、道は開けるかもしれません。

あなたの不安の輪郭が見えてきたら、子どもを「見る目」も少し変わるはずです。

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