こんにちは。中学受験の家庭教師 鳥山と申します。
「国語の選択肢問題が苦手」「いつも二択で外してしまう」このようなお悩みはありませんか?
これは、設問に対する「考え方」が不安定なことに起因するつまずきです。
本人的には「あと一歩」のつもりでも、その一歩に必要な考え方が抜けているのです。
この記事では、「確信をもって、選択肢を選ぶ」ための思考プロセスをご紹介します。
選択肢問題は、「本文に書いてあるもの」を選ぶのではない
選択肢問題で、一番大切なのは「『問題で聞かれていること』の答えを選ぶ」です。
一見、当たり前のことのように思えますよね。でも試しに、子どもに「この選択肢問題は、なぜ、アを選んだの?」と聞いてみてください。
あまり国語が得意ではない子は、以下のように答えるはずです。
「イは、本文の●行目と逆のことを書いている。ウは、本文には書いていない。エも、本文には書いていない。でも、アは▲行目に書いてある」
この返答には、少し注意が必要です。さて、何が良くないと思いますか?
これは、「選択肢の内容が、本文に書いてあるか? 無いか?」を説明しているだけで、「なぜ、設問の答えがアになるのか?」を解説はできていないのです。
逆に、アが「問題の答えとなる理由」が答えられれば、選択肢問題において大切なことは身についているといえるでしょう。
小4までなら、選択肢問題は「本文にあるか・ないかの識別」だけでも、割と正解できてしまうのですが、小5以降は、「問題に対して、正確に答える」意識がないと正答率できなくなってきます。
どんな問題においても、まずは「問題が聞いていることは何か?」を、注意深く読み取ることが大事です。
まずは、この大原則を念頭に置いておいてください。
※ 関連記事: 国語の失点が減らない理由は、「設問の読み方」にあった【中学受験】
選択肢問題の考え方
先の大原則を踏まえたうえで、選択肢問題は以下の手順で考えます。
(1) 「問題が聞いていることは何か?」を読み取る。
(2) 答えを、頭の中で「記述問題」のように考える。
(3) 選択肢の中から、自分の考えに近い内容を探す。
(4) 一発で選べないことも多いので、「全然違う選択肢」は消していき、
2択に絞り、精査する。
(5) 消去や精査をしている最中に、「問題が聞いていることは何か?」を
忘れがちなので、適宜、設問文を読み直す。
各項目を、解説していきます。
大原則は、「記述問題のように考える」
まず、(2) 選択肢問題であっても、「頭の中で、答えを記述問題のように考える」ことは大事です。
問題を読んだ後、すぐに選択肢を見て、本文にあるか・無いかの照合を始める子がいます。
しかし、「問題に答える」ことをしなければならないのですから、いきなり選択肢を見ず、まずは答えを頭の中で考えましょう。
「そんなの考えられないよ」「文章の内容なんて、ほとんど忘れてるよ」という場合は、以下のいずれかの状態です。
・ 「本文の読み取りが甘い」
(文字を読んでいるだけで、要旨を整理しながら読めていない)
・ 「ワーキングメモリーが弱い」
(「作業のために、一時的に文章内容を記憶する力」が弱い)
このような状態だと、選択肢問題の演習を重ねても、成果につながりにくいかもしれません。優先的に「本文の読み取り」や「ワーキングメモリー」の対策をしたほうがいいでしょう。
以下は、私が過去に書いた「本文の読み取り」に関する記事となります。ぜひご覧ください。
※ 関連記事:読解力を伸ばすたった一つの方法は、「考えながら読む」ことだった【中学受験 国語】
「ワーキングメモリー」の記事はまだありません。ごめんなさい。いつか書きます。
ただ、「長文を読んだ後、その内容を説明してもらう」ことをくりかえすと、短期記憶は良くなってくると思います。お試しください。
選択肢を「二択」に絞り、精査する
さて次に、(3)「自分の考えた答えと、類似している選択肢」を探します。
一発で選べる場合もあるのですが、これもまた、学年が進むにつれて、一発で選べないことのほうが多くなってきます。
そのため、原則として、(4) 消去法で「二択」に絞って、どちらが正しいかを精査することが大事です。(「三択」まで残ることもあります)
小6の模試や難関校の入試問題にもなれば、選択肢が紛らわしくなります。
そのため、「選択肢にはこう書いてあるけれど、本文の趣旨と合っているかどうか、怪しいな」と思ったら、本文の内容を確認しなければいけません。
しかし、「怪しいな」と思わず、「最初に、本文を読んだときの記憶」だけを頼りに、選択肢の処理を全てこなそうとする子もいます。
小4や小5初期の簡単な選択肢問題であれば、記憶だけで精査することも可能なのですが、それ以降の時期に、同じやり方で強引に突破しようとしても、上手くいきません。
その場合、周囲の大人が、本文に戻って確認するよう、誘導してあげる必要があるでしょう。
また、気をつけなければいけないことが、もう一点。
選択肢を読んで、正しいかどうかを本文に戻って確認して・・・とやっているうちに、「そもそも、問題が何を聞いていたか?」を忘却して、間違った選択肢を選んでしまうんですね。
これを無くすには、(5)「問題が何を聞いていたか?」を常に意識すること。忘れたのであれば、設問文を何度でも読み直すことです。
選択肢問題が解けない理由と対策
医師は「治療・投薬」をする前に、患者を「診察」します。
それと同様に、子どもが「問題が解けないのはなぜか?」を考えることは大切です。そうすることで、初めて「有効な対策」が考えられるようになります。
そこで、ここまでの話も踏まえて、「選択肢問題が解けないときの理由」をまとめてみました。
(1) 本文が読めていない。
(2) 問題が読めていない。
(作業をする中で、問題で聞かれたことを忘却している場合も)
(3) 選択肢が読めていない。
(最後まで読まない子、結構いると思います)
(4) 「問題の答え」を選ぶのではなく、「本文に書いてある内容」を選んでしまっている。
(5) 選択肢を精査する際、「自分の記憶」だけを頼りにしている。
(6) 制限時間に、強引に間に合わせようとして、本文や選択肢の読みが浅くなっている。
この記事では、主に、(4)と(5)に関しての対策を書きました。
私から見ると、設問を解く以前の問題として、(1)や(2)ができていない子も結構いると思います。
ですが、ご家庭がそれに気づかず、「付け焼刃」の選択肢問題対策をしている様子も散見されます。(きつい言い方になって恐縮ですが)
ですので、まずは「何につまずいているか?」を分析してください。
(4)と(5)以外のつまずきに関する対策は、このページ下部の【関連記事】に詳しく書いています。ぜひ、参考にしてくださいね。
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