中学受験から高校受験へ切り替えるべき?(1)高校受験のメリットを徹底解説

中学受験 → 高校受験への切り替え

こんにちは。中学受験の家庭教師 鳥山と申します。

最近、「中学受験から、高校受験に切り替えるべきか?」というご相談を受ける機会が増えています。

中学受験と高校受験。どちらにも良さがあり、正解は一つではありません。

情報や視点が偏ったまま選択をしてしまうと、後で「こんなはずではなかった」と感じてしまうことも。

そこで、これまでに中学受験・高校受験の両方の指導をしてきた筆者の立場から、「高校受験のメリット・デメリット」を徹底的に解説いたします。

第一弾の今回は、「高校受験のメリット」についてです。

※【関連記事】『中学受験と高校受験、わが子に必要なのはどっち? 「学びの質」で選ぶならこの視点を』

筆者の高校受験指導歴

このブログは中学受験をテーマとしており、筆者は現在、中学受験の家庭教師として活動していますが、過去には塾講師として、高校受験の指導経験もあります。(東京都)

個人の先生が運営する「町塾」で1年間、大手集団塾で5年間、大手個別指導塾で1年間で指導。

(※ 個別指導塾には3年間勤めましたが、高校受験生は最初の1年しか担当しませんでした)

不登校の子、学習にかなりの困難を抱えた子、高校受験リベンジの子、早慶付属校に合格した子まで、幅広く見てきました。

最後に高校受験生を送り出してから、若干ブランクはあるのですが、中受と違って、変化の少ない世界なので、まだギリギリ語れる資格はあるかな、と思っています。

高校受験のメリット

私の指導経験をもとに、高校受験のメリットをあげていきます。

親御様が伴走する必要がない

まず、高校受験の大きなメリットは「親御様が伴走する必要がない」ことだと思います。

中学受験の場合、「そもそも、なぜ中学受験をするのか?」という理由や意義を、受験生本人がわかっていないことが多いはずです。

小学校1~2年生のときは、放課後ずっと遊んでいたのに、急に塾に行かされて、点数で競争させられる。

「小学校のクラスには、塾に通っていない子もいるのに、なぜこんな思いをしなければいけないのか?」、こういう思いを心のどこかで抱いている子も多いのではないでしょうか。

中学受験は本来はやらなくてもいいものにも関わらず、それを親御様の誘導で始めているわけです。

何事においても、始めたことには責任が伴います。

ですので、個人的な考えではありますが、小学生の間は、親御様がある程度の「伴走」をしてあげることは、子どもに対する義理なのではないかと思っています。

中学受験は、同年代における成熟の早い層&優秀層の中での戦いなので、当然、やっている内容は難しいです。

そのため、勉強が上手く進まないときの学習フォローに関しては、親御様が具体的な策を考えてあげる必要があるでしょう。

子どもが学習に前向きになれないときのメンタルケアに関しても、親御様が真剣に考えることが大切だと考えます。

また、大人がホンネで論理的に中学受験の有用性を語ってあげることも肝要なのですが、子どもは大人と違って人生経験が浅く、先のことを想像できないので、どれだけ言葉を尽くしても、わかってもらえない、ということもよくあります。

一方、中学生にもなれば、まだ起こっていないことに対する想像力が身に着きます。

中学校では「定期テスト」が実施され、本人もだいぶ大人になっている。

「今やっている勉強は、将来、何につながるのか?」ということを考えたり、自分が置かれた立場や、社会的システムを客観的に理解したりする良い機会となるのが高校受験です。

多くの子にとっては、「勉強したほうが、生きていくのにお得なんだな~」と、損得が理解できるようになるのは、高校受験の年齢(中学生)からだと感じています。

高校受験からは「本人の自己責任」として、親御様は伴走はしなくて大丈夫です。

中学受験と比べれば、高校受験の学習内容はかなりスローペースで簡単(※ 開成・早慶・国立・都立トップ校を目指す場合を除く)です。

また、小学校の学習内容とかけ離れたことをやる中学受験と違って、高校受験は、中学校で習ったことがそのまま入試で問われますから、そういう意味でも親御様のフォローはほぼいらないと思います。

もちろん、親御様が入試制度に関する知識を得たり、子どものメンタルケアをしてあげたりすることは大切ですが、中学受験と比べれば、比較にならないほど手間はかからないですし、かける必要もないでしょう。

成熟度に学習結果が左右されることがない

高校受験には、「本人の成熟度(「早生まれ」など)に成績が左右されない」という良さがあります。

小6生と中1生は、接していると、同じようでいて結構な違いがあります(特に男子)。

その違いが何かというと、「言葉が通じるか否か」です。

言葉を理解する力が発達すれば、先生が授業中に理詰めで説明したことが理解できるようになり、教科書も一人で読めるようになります。

小学生段階(中学受験)で成績がいい子は、単純に成長が早かったから、それができているだけ。成績が良くない子は、その逆、という場合もあります。

しかし、中学生になると、各々の成長の差が少なくなり、フラットな状態に近づくので、純粋に能力と努力量だけで勝負できるのです。

中学生で幼い言動をする子もたくさんいますが、それはシンプルに、その子自身の才覚やパーソナリティの問題になってくると思います。

(例:「勉強がわからない→楽しくない→宿題等もやらない」の過程が、他の人の目からは「幼く」見える)

「併願優遇」制度があり、チャレンジ受験がしやすい

中学受験では、当日のメンタルや体調不良によって、実力よりも下(=毎回の模試で、合格判定が80%出ていて、過去問の点数も取れていた)の学校に不合格になる場合もあります。

ですが、高校受験の場合は、そういった事態はありません。

なぜなら、首都圏の私立高校の場合、「併願優遇」という制度があるからです。

これは、学校の内申点、あるいは、模試の成績が一定以上であれば、合格を「ほぼ確約」してくれるというシステム。

一応、入試を受けに行く必要はありますが、過去問対策なんてしてなくて大丈夫ですし、落ちた子は見たことがありません。

当日点は、「0点でなければ受かる」というのが通説です。

併願優遇で合格校を確実に一校取れるため、その他は全てチャレンジ校で埋めるという強気な受験スケジュールにできるのは、高校受験のメリットといえるでしょう。

ただし、中学受験のように「午前受験・午後受験」の制度はないので、受験できる学校の総数に限りはあります。

次の記事では、「高校受験のデメリット」について解説します。


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