【例文あり】税・水など「テーマ作文」の書き方。公立中高一貫校にも対応

「国語」の指導・学習法

こんにちは。中学受験の家庭教師 鳥山と申します。

「夏休みに作文の宿題が出されたものの、どう書けばいいのかわからない」と悩めるお子様に向けた「作文教室」記事、第2弾です。

前回は、「読書感想文」の書き方についてレクチャーしました。

今回は、「税」「水」といった「テーマが決められた作文」の書き方について解説します。

親御様が記事を読んでいただいた上で、各ポイントをお子さんにお伝えください。

ちなみに、公立中高一貫校の適性検査や、中学受験における総合型選抜(AO入試・一芸入試)にも応用できる内容だと思います。

この2つの受検・受験を考えている方も、参考にどうぞ。


※ 前回記事:「読書感想文は本選びが9割!書き方の例も紹介【公立中高一貫校対策にも役立つ】」

「テーマ作文」でつまずく子によくある、2つの悩み

夏休みに、「税」「水」といった「テーマのある作文」を書くとき、ありがちな悩み・疑問を以下に挙げます。

書き方を学ぶ前に、まずは子どもの悩み・疑問を、大人が解きほぐしてあげることが大切です。

1:「税(水)は国民の生活に必要なもので、とても大切だと思いました」というように、当たり前の意見に終始してしまい、文字数も埋まらない。

2:そもそも、なぜこんな作文を書かなきゃいけないの? 書く目的は何?

これに関しては、私もその通りだとは思います(^ω^;)。

それでも、「水」はまだいいんです。いくらでも書きようはあります(詳細は後述)。

一方、「税」は、理屈のうえでは必要・大切だとわかりつつも、多くの国民が支払いに悩んでいることは、ニュースや親御さんの発言などから、子どもも感じとっていることでしょう。

それなのに、誰も「税の作文」について、以下のようなことは言いません。

「そもそも、作文を通して何をさせたいの? 今の社会システムを肯定してほしいの? 良いことだけ書いてほしいの?」

「税が高いと国民が嘆いているのに、税を全肯定する作文を書かせたいの?」

タテマエ的なことをみんなが知らんぷりしていると、「賢い子」ほど気持ち悪くて仕方なくなり、強いストレスになるはずです。

(※ 実際に「税」の作文は、公式ホームページの入賞作品を見るに、「模範的」な内容が評価される傾向にあるようです)

その場合は、身近にいる親御さんが「確かに、よくわからないよねw」と肯定してあげるだけで、慰めになるのではないでしょうか。

また、一部の私立中学や公立中高一貫校をのぞいて、学校の内申点は、入試の合否にはまったく加味されません。

「大人に気に入られそうな作文を、絶対に書かなきゃいけない」と思い込まずに、自分の書きたいことを書いていいと、個人的には思います。

「テーマのある作文」の書き方と具体例(例:税の作文)

では、ここから「テーマのある作文の書き方」の解説をしましょう。

「何を書いたらいいか、全く見当がつかない」という子は、【問題提起→具体例→解決策型】フォーマットで書いていくことをおすすめします。

「税」をテーマとして、フォーマットに当てはめて、実際に作文を書いてみます。

【第1段落:問題提起】
「なぜ、〇〇なのだろうか」という問いを設定する。

税、それは国を維持するために重要なものであり、私たち国民にとっても、公共サービスを受けるために大切なものだ。税金を払うべき理由は、歴史や公民でしっかりと学んできた。

しかし令和の時代になり、現実として、税金の高さに苦しむ国民は多い。

本当に、今の税制度のままでいいのだろうか。もっと、税を低くする手段はないのだろうか。

【第2段落:具体例】
「問題提起」に関連する「具体例」を書く。

テレビでモナコという国は、無税だと紹介していた。本当にそうであれば、日本も無税が可能なのではないか。実際のところを、インターネットで調べてみた。

すると、たしかにモナコにおいては、働いて得た収入にかかる「所得税」がゼロだということがわかった。

しかし、モナコの「消費税」は20%だそうだ。また、日本には存在しない「貴金属税」もかかる。

モナコには超富裕層がたくさん住んでおり、その人たちが、貴金属といった高額な商品を購入することで、国の財政が支えられるシステムになっているのだ。

(※ 参考元:国立国会図書館デジタルコレクション『財務省広報誌「ファイナンス」』

他にも、シンガポール、マレーシア、ドバイなど、日本ではかかる税がかからない国・都市はあるが、全くの無税というわけではない。

私が調べた限り、税制度のない国は存在しない。日本の歴史を見ても税がなかったのは、701年に大宝律令が制定される前までだ。

すなわち、大きな国を維持していくために、税は絶対に必要なものなのだ。

【第3段落:解決策】
「具体例」を踏まえて「問題提起」に対する解決策を考える。

今回の調査により、税は絶対に必要なものであることを理解した。しかし現実として、税に苦しむ人は実際に存在する。それは解決しなければならない。

たとえば、他国のように「一定の税は高額にするが、別の税を下げる」ことはできないのだろうか。法人税は上げるが、消費税は下げる。消費税は上げるが、住民税は下げるといった具合にである。

しかし、何を上げて、何を下げる(無くす)ことができるのか。子どもの私にはわからない。しかし、その解決策を考えるのが政治家の方々の仕事だと思う。プロの知見と頭脳を期待したい。

※ この例文は「大人の書き方」になっているので、子どもはもっとシンプルな内容が書ければOKです。

「テーマのある作文」各段落のポイント

各段落のポイントを解説しましょう。

「問題提起」を書くときのポイント

まず、いきなり作文用紙に文章を書き出すのではなく、【問題提起】をいくつかメモ書きしてみることが重要です。

たとえば、今回の「税」の作文であれば・・・、

・税に苦しむ人がたくさんいる。本当に、今の税制度のままでいいのだろうか? もっと、税を低くする手段はないのだろうか?

・税をごまかして、支払わない人もいるらしい。誰かがそういうことをすると、国民全体にどういうマイナスがあるのだろうか?

・日本は増税するたびに、不満の声が上がるが、他国ではどうなのだろうか? 北欧は、日本よりもはるかに税負担が高いと聞いたが、批判は出ないのだろうか?

このように複数書いてみて、第二段落の【具体例】がたくさん書けそうな【問題提起】を最終的に選ぶといいでしょう。

※ 【問題提起】のアイディアの出し方については、以下の関連記事に書きました。
作文の型を覚えても、「浅い作文」しか書けない理由とは?【適性検査・中学受験 総合型選抜】

「具体例」を書くときのポイント

【具体例】については、本やインターネットを活用し、そこに書いてあったことをどんどん引用してください。

新聞記者やライターでも、未知の内容について書く際には、文献に当たり、取材をします。

要するに、調べものをしない限り、プロであっても、文章なんて書けるはずがないということです。

ましてや、小学生です。具体例を頭の中だけで考えるのではなく、本やネットにあたるようにしましょう。

ただし、「ネット情報や本の引用で、7割以上埋める」のは避けてください。

先述の作文例のように、引用は「5割程度」が限界かと思います。あくまで、作文は自分の「意見」を書くことが目的だからです。

また、ネットにおいては、マスメディアや公的機関といった「信頼性のある発信者」の情報を活用しましょう。

よくわからない個人がやっているホームページや、SNSの発信を情報元にしてはいけません。AIの返答も、出典がはっきりしないので、絶対に使用は避けましょう。

「解決策」を書くときのポイント

【解決策】に関しては、「良い内容」は書けなくて大丈夫です。

そもそも、今まで政治家や官僚が頭を捻ってきても、国民を納得させられるようなアイディア出せなかったのが、「税問題」なのです。

子どもが30分考えたところで、有効な解決策が考えられないのは当たり前ですので。

私が書いた例のように、「ここまで自分で考えたが、ここから先はわからなかった。今後の解決に期待したい」という締めくくり方で充分でしょう。

「抽象的なテーマの作文」の書き方(例:水の作文)

この記事の冒頭で、「(税と比較したとき)『水』の作文は、まだ書きようがある」とお伝えしました。

その理由ですが、「抽象的なお題」であるため、書き手側で「テーマ設定」がしやすい点にあります。

(1) 「ネタ出し」をする

たとえば、同じ「水」と言っても、以下のように、様々なテーマを考えることができます。

(ミクロ的・身近な視点の例)
「清流とドブ川」
「私たちの生活を支える上下水道」
「河川の氾濫の問題」

(マクロ的視点の例)
「世界中に多くある、水資源が不足している国」
「バーチャルウォーター(仮想水)の問題」

ですので、「水」のような抽象的テーマの作文に取り組む際には、まず「ネタ出し」をするようにしましょう。

インターネットで、「水 問題」と調べたり、小学校や塾の「理科」「社会」の教科書を読んだりして、ネタを拾うことが大切です。

意外と、「国語」のテキストで、ヒントが見つかる場合もあると思います。

ちなみに、「環境」「防災」「健康」といった他の抽象的テーマの作文に関しても、同じ考え方で対応可能です。

(2) 「具体例」「問題提起」を考える

いくつかネタを上げたら、その問題に関する「具体例」「問題提起」を、メモ書きしていきましょう。以下に、例を挙げます。

「清流とドブ川」

うちの近所にはドブ川がある。しかし、夏休みに行ったおじいちゃんの家の近所の川は、透明で美しかった。

この違いはなんだろう?

「世界中に多くある、水資源が不足している国」

小学校の社会の授業を通して、アフリカでは水資源が不足している国が多いと知った。

インターネットで調べると、「22億人が、安全に管理された飲み水を使用できない。このうち、1億1,500万人は、湖や河川、用水路などの未処理の地表水を使用している」という表記が見られた。

(※ 参考元:日本ユニセフ協会『水と衛生|ユニセフの主な活動分野』

しかし、日本で「水不足」という話を聞いたことがない。この違いはなんだろう? どうすれば、世界の水の問題を解決できるのか?

「清流とドブ川の違い」「世界と日本の違い」などと、対比で書いていくと、論旨がつくりやすいと思います。

また「問題提起」においては、「違いはなんだろう?」「どうすれば、現状の問題が解決できるのか?」を考えることが基本です。

まとめ

そもそも、最初の「問題提起」が上手くいかないという子も多いはずなので、次回の記事では、問題提起の方法・考え方(親御様のサポート方法)について、書く予定です。

なお、今回紹介した「型」は、「作文が苦手で、何を書けばいいかわからない」子が活用すべきものです。

型にはめて書いた場合、「70点レベル(よくて80点レベル)」の作文はできたとしても、それ以上は狙えないと思います。

「人をうならせるような文章」が書きたい子は、型にはこだわらず、ぜひ色々な書き方を試してみてほしいです。 応援してます!


このページ下部に、他の「作文の書き方記事」へのリンクを貼っています。ぜひ、あわせてご覧ください。


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