【中学受験 国語】問題の正答率が上がる!設問文の読み方を解説

「国語」の指導・学習法

中学受験の家庭教師 鳥山と申します。

前回の記事(『頭を使わず、ラクするな! 国語の読解を得意にするたった一つの方法】』)では、「文章を通して、筆者が何を言いたいのか?」を常に考えながら読むことが大事である、と書きました。

今回は、問題に正確に答えるための「問題(設問文)の読み方」について解説します。

前回の記事からご覧いただけると、今回の記事で私が言わんとしていることもわかりやすいかと思います。まだお読みでない方は、以下からぜひどうぞ。

問題文に対して、正確に答える姿勢を「追究」する

国語の問題には、大きく分けて「選択肢問題」「記述問題」「書き抜き問題」の3つがあります。

とはいえ、どんな問題であっても、一番大切なのは次のことです。

「問題(設問文)が聞いていることに対して、正確に答える」

「いや、それ当たり前ですやーん!」というツッコミが入りそうですがw、実は、小学生に限らず、日常会話において、大人でもできていない人はたくさんいると思います。

かくいう、私もそのうちの一人でした。(もちろん、今でも完璧と言うつもりは一切ありません・・・)

自分も含め、厳密には「できていない」というより、「正確に質問を捉え、答えることに対して、追究の姿勢が甘く、精度がよろしくない」人が多いのかもしれません。

たとえば、会話やメールのやり取りにおいて、以下のようなエラーはありがちです。

質問に答えられているようで、答えられていないのだが、当人はズレに気づいていない。
(例:「Q:この教材は、どのような力をつけるために使いますか?」→「A:漢字練習の目的で使用します」)

大人でもそうなのですから、ましてや、年端のいかない小学生なんて、テスト中に、上記と同様のエラーを頻繁に起こしています。

これを防ぐには、以下が大切です。

問題(設問文)を何度も読み、「ズレていないかな?」と振り返る。

問題文は、何度も読み返すことが大事

そもそも、小学生は、「問題(設問文)を何度も読み直す」という発想を持っていません。他人から教わらない限りは、身につかないと思います。

私が国語の問題を解くときは、

「問題を読む」→「本文の根拠に戻る」→「選択肢を消去する」→「問題を読む」→「二択に絞った選択肢を精査する」→「また問題を確認する」

・・・というように、何度も問題(設問文)を読んでいます。難易度の低い問題であれば、1回読んだだけでも大丈夫ですが、小6の模試や入試問題では、平均で2~3回は読んでいると思います。

問題を解くために、あれこれ思考や作業を挟むうちに、設問文が聞いていたことの記憶がぼんやりしてくるので、何度も読みなおし、「問題を正しく捉えられているかな? ズレていないかな?」と振り返っているわけです。

ところが、生徒が解く様子を横で見ていると、問題を1回だけ読んで、解答を出していることもあります。それでは、問題と答えがズレまくります。

そういう子に対しては「問題は、何度も読んでいいんだよ」と伝えて、さっき書いたような手順を、大人と子どもで一緒にやっていくことが大事です。

小5の後半や小6で、国語の成績が下がったという子は、「設問文の読み込みが甘い」可能性もあります。

易しいテストでは、問題を1回読むだけでも頭に入っていた。難易度が上がって、1回読むだけでは解けなくなっていることに気づかず、今まで通りのやり方を貫いて上手く行かなくなる、ということです。

問題内容を正確に理解しなければ、正答もできるはずがありません。

しかし、子ども側の言い分として、「何度も問題を読んでいたら、制限時間に間に合わなくなるよ」というものがあるでしょう。

たしかに、一理あります。私だって、問題を何度も読めているのは、「超速」でそれをこなせるからです。

情報処理スピードやワーキングメモリ―が高度なレベルで求められるのが、現代のハイレベルな中学入試なんですね。

親御様としては、「スピード感を持って読む」「正確に読む」という、全く別の課題点を、一緒くたにしないようにして、それぞれ対処することが大切です。

スピード対策は別途やるとしましょう。(当ブログの「国語カテゴリ」の記事を、ぜひ参考にしていただければと思います)

そのうえで、「問題の聞きたいことを正確に捉え、正確に答える」習慣をつけるために、宿題やテストの復習の際は、時間がかかってもいいので、設問文を何度も読み直すようにするのがいいでしょう。

「問題をよく読まない」癖を改善するには?

「うちの子、問題をよく読まないんです」という悩みは、親御様によくありがちだと思います。

しかし、その解決策として、「ちゃんと問題を読もう」という声をかけるのは、ほとんど意味がないことが多いです。

なぜなら、本人的には真剣に読んでいて、適当に読んでいる認識はないからです。

とはいえ、それは「文字を読んでいる」だけで、「正確に問題を理解することへの、追究の姿勢が甘い」状態であるといえます。

であれば、「追究する姿勢」を作ってあげればいいのです。具体的には、「この問題、何を聞いているの?」と問いかけてあげることです。

たとえば、テストの復習の際、一問一問、解きなおす前に必ず、「この問題は、何を聞いているの?」という質問を挟む。

そうすると、子どもとしては、一瞬「あれ?」と考えるのです。この「考える」というワンクッションが非常に大事になります。

これを何度も何度も繰り返していけば、言われなくても、子ども自身が脳内で「この問題って、何を聞いているんだろう?」と自問自答できるようになってきます。

国語の問題文特有の「言い回し」を知る

「国語の問題を正確に理解する」ためには、「問題特有の言い回し」を知ることも大事です。

以下に、例を挙げましょう。

デイリーポータルZ『 国語の読解問題、作者自身が解いたら満点取れるのか!?』

上記は受験関連のサイトではなく、Webメディア『デイリーポータルZ』の記事になります。

芥川賞作家・長嶋有さんが、自らの作品が出典となっている国語の問題を解く。はたして、満点は取れるのか? という企画です。私立中学校だと、「早稲田中」の問題も登場していますね。

ここでは、 『「進路マップ」2011年度 実力診断テスト』の問題と、それを解いている長嶋さん達の発言に、注目したいと思います。

以下は、記事の引用です。

【問題】傍線部③とあるが、ここでの「僕」の様子を三十字以内で説明しなさい。

長嶋「『様子』!? 普通は『心情』を答えるんでしょうけど、『様子』ってことは動作も含めてってことだもんねぇ。」

北村「そう、『心情』ならともかく『様子』って言われちゃうと悩みますね。……順番に答えを言っていきましょうか。」

(中略)

では模範解答は……。
「夕子が納得してくれそうな返事を思いつかず、困惑している」

出典デイリーポータルZ『 国語の読解問題、作者自身が解いたら満点取れるのか!?』

「様子」とは、「状態」のことなので、たとえば「困惑している様子」「うれしそうな様子」というように、別に心情も含めていいのです。

しかし、長嶋さんのように、普段から、国語の問題を解き慣れていない人にとっては、「動作も含めなければいけないのではないか?」というように、深読みというか、誤解してしまいがちなのですね。

芥川賞作家が間違えるくらいですから、子どもにとっては、問題文中によくわかっていない言葉なんて、いっぱいあるはず

そういったことに、大人が気づいてあげて、つぶしていくのは大事です。

問題の意味を「解釈」する

学年が進んで、問題の難易度が上がると、「そもそも設問の意味自体が理解できない」シーンも出てきます。

問:「今度はあたしがため息をつく番だった」とありますが、このときの「あたし」の気持ちを説明しなさい。

出典:サピックス 2023年3月 『小6 組分けテスト』

さて、この問題は何を聞いているのでしょうか?

問題を読んで、「『ため息をついた』ときの『あたし』の気持ち」だけが問われている、と解釈した方は結構多いのではないかと思います。

ですが、「今度はあたしの番だった」と書いてあるので、他にもため息をついた人物がいるのですね。

そこから考えると、この問題は、「他にため息をついた人物の気持ちと、あたしの気持ちを対比して、記述をさせたい問題」であるとわかります。

文字通り問題を読んだだけでは、問われている内容は理解できないことでしょう。前回の記事でも書いたように、「文字を読む」と「内容を理解する」行為は、全くの別物なのです。

こういった問題を理解できるようになるために、「何かのコツを教わる」のは、さほど有効ではありません。そうではなくて、「頭の使い方」を変えなければいけないのです。

大事なのは、「自分は、設問の意味がわからなかったんだ」という自覚を持つことそして、そのために、指導者が適切な形で指摘してあげることです。

そうすれば、徐々に「問題がやらせたいこと」の解釈ができるようになってきます。

問題の聞いていることが、「わかっている」のか「わかっていないのか」、メタ認知がないまま、なんとなく、それっぽい答えを書いている状態が一番まずいので、注意しましょう。

次回の記事では、「選択肢問題・記述問題・書き抜き問題の考え方」について書きます。


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